オーストラリアのカカドゥ国立公園を流れる川に、ザトウクジラが迷い込んでいます。
川はクロコダイルが数多く生息する、「イーストアリゲーターリバー」で、クジラは既に、河口から20キロ以上も上流に到達しています。
ザトウクジラは9月2日、川を訪れていた海洋生態学者のジェイソン・ファウラー氏によって発見されました。
ファウラー氏と同行者は、1キロほど先から聞こえてくる「水面を叩く巨大な音」に驚き、最初はそれをイルカのものと考えました。
しかし近づいてみると、そこにいたのは3頭のザトウクジラでした。
ファウラー氏は初めて見た光景を伝えるため、クジラをカメラに収め、国立公園を管理するノーザンテリトリーの当局に、座標とともに送りました。
現在クジラの専門家チームが現地に入り、救出方法について検討が行われています。
イーストアリゲーターリバーに迷い込んだザトウクジラの1頭 (Credit: NT Government)
その後の調査で、3頭のうちの1頭は海に向かったことが確認されました。
残る2頭はまだ川を泳いでいますが、今のところ座礁の心配はありません。
ノーザンテリトリーの海洋科学者であるキャロル・パーマー博士は、「ザトウクジラが川を遡った事例は、ノーザンテリトリーだけでなく、オーストラリア全体でも記録がない」と述べ、川に迷い込んだ理由については、「はっきりとはわからないが、南極に向かう途中で誤って河口に入ったのではないか」と指摘しています。
ザトウクジラはオーストラリア沖の暖かい海で出産をした後、南極に戻って餌を食べるという回遊行動を繰り返します。
イーストアリゲーターリバーは水深が深く、また豊富な生き物が生息しているため、お腹のすいたザトウクジラが迷い込んでしまう可能性は十分にあり得ます。
クロコダイルがクジラを襲う危険性は、ほとんどないものと考えられています。
パーマー博士は、「ザトウクジラの体長は16メートルあり、クロコダイルが攻撃できる大きさではない」と述べ、クジラが座礁しない限り、餌とみなされる可能性は低いと説明しています。
現在科学者チームは、迷い込んだクジラの監視を続けつつ、「騒々しい音」や、録音した他のザトウクジラの「声」などを使って、海に誘導する作戦を練っています。
また当局は、クジラとボートが接触する危険を回避するため、河口から30キロまでを立ち入り禁止区域に設定しました。

川にいる2頭は一旦河口までいってまた戻ってきたみたいだよ

体が大きいから座礁しないか心配だね