中国の新聞「環球時報」(英字紙はGlobal Times)によると北京の遺伝子科学者の手によって優秀な警察犬のクローンが誕生しています。
先日、中国南西部にある雲南省昆明市の警察に生後3か月になる雌のクローン警察犬「Kunxun」が訓練のためにやってきました。
China’s first cloned police dog, 3-month-old Kunxun, has begun training after arriving at a police base in Kunming, Southwest China’s Yunnan Province earlier this month. https://t.co/DrFoqeBkVy pic.twitter.com/QxHjxdDajJ
— Global Times (@globaltimesnews) 2019年3月20日
Kunxunは7歳の警察犬「Huahuangma」のクローンで、2018年12月19日に誕生しました。
Huahuangmaは複数の殺人事件の解決に貢献した功績があり素晴らしい嗅覚を持っています。
科学者によるとKunxunとHuahuangmaのDNAは99.9%マッチしているということです。
優秀な警察犬の育成にはお金と時間がかかる
クローン警察犬が生まれる理由はいくつかあります。
1つは育成にお金がかかることです。
環球時報によると典型的な警察犬の育成には5年の歳月と6万ドルもの費用がかかります。
2つめの理由は、優秀な警察犬の子供が優秀であるとは限らないという点です。
匿名を希望した瀋陽市の警察官によると、警察犬は優れた嗅覚を持つことが絶対条件ですが、伝統的な育成方法では元の優れた遺伝子が世代を下るごとに希釈されてその育成が困難になっていくということです。
しかし警察犬の訓練には個体の能力だけでなく周囲の環境やトレーナーのスキルも重要な役割を果たすとして、今回の事例が警察犬のクローンの大量生産を意味しているわけではないと述べています。
今回のクローン作成に関わったSinogene BiotechnologyのゼネラルマネージャーZhao Jianping氏は、Kunxunの誕生は警察犬のクローン技術を拡張する可能性を提供し、それを訓練する時間も大幅に短縮することになるだろうと語りました。
また同時にクローン作成のコストが問題で大量生産のボトルネックになっていることも明かしました。
中国の科学者は去年、人間の双子の赤ちゃんを遺伝子操作し倫理的な面で世界を揺るがしました。
遺伝子を操作することに対しては――特に人間に対しては――立ちはだかる壁が存在しますが、動物の場合はどうなのでしょうか。
警察犬の例でいえば今回のKunxunが初のケースというわけではありません。
韓国では2008年に6匹のクローン犬が誕生し街頭を巡回し始めました。
また2009年には911のテロの最後の生存者を発見したTrakrという名のジャーマン・シェパードから5匹のクローン犬が作られています。
クローン犬といえども一つの尊い命にかわりはありません。
倫理的な問題はどうあれ、彼らは人間のために一生懸命働いてくれるわけですから、いい仕事をした場合にはたくさんご褒美をあげてほしいと思います。
Kunxunは現在、薬物探知と群衆管理の訓練を受けていて10か月もすれば本格的な警察犬としてデビューできるようになるとのことです。
どんな活躍をするのか楽しみですね。
References:GlobalTimes,LiveScience