米国ペンシルベニア州のバードウォッチャーが、体の左右で毛色が異なる珍しい鳥を発見しています。
見つかったのは、カナダやアメリカに広く生息しているスズメ目の鳥、「ショウジョウコウカンチョウ (Northern cardinal)」です。
ショウジョウコウカンチョウは、性別によって毛色が変わる鳥で、オスは全体的に赤っぽく、メスは褐色です。
48年間野鳥観察を続けてきたジェイミー・ヒル氏は、ペンシルべニア州ウォーレン郡のある住宅に、毛色が半々のショウジョウコウカンチョウが来訪していることを友人から聞き、その姿をカメラに収めるべく現地を訪れました。
ヒル氏は最初、毛色が半々と聞いて「白変種」、すなわち色素が減少した個体を連想しました。
白変種であった場合、たとえ見た目が不思議であっても、性別は片方に限定されます。
しかし撮影されたショウジョウコウカンチョウを分析した結果、鳥は白変種ではなく、一つの個体の中にオスとメスが混在する「雌雄モザイク」であることがわかりました。
雌雄モザイクの鳥には精巣と卵巣の両方があり、理論的には交尾期の間、どちらの性別としても機能します。
体の右側がオス、左側がメスのショウジョウコウカンチョウ (Photo Credit: Jamie Hill)
撮影されたショウジョウコウカンチョウは、体の真ん中でくっきりと色が分かれています。
これは雌雄モザイクの生き物の特徴の一つです。
(Photo Credit: Jamie Hill)
ヒル氏は1時間撮影を行い、その間、雌雄モザイクの個体を含む5羽のショウジョウコウカンチョウが餌箱を訪れました。
「半分はオス、もう半分はメス」のショウジョウコウカンチョウは、過去に多くの野鳥を観察してきたヒル氏にとっても一期一会の遭遇でした。
ヒル氏は撮影について、「一生に一度、100万分の1の出会いだった」と述べています。
鳥類学者の間で「ハーフサイダー (half-siders)」と呼ばれる雌雄モザイクの鳥は、非常に珍しいものですが、過去に目撃例がなかったわけではありません。
ナショナルジオグラフィックによると、2019年に同じペンシルベニア州で、今回の個体とよく似たショウジョウコウカンチョウが撮影されています。
元々オスとメスで色が違ってないと、雌雄モザイクの鳥を見つけるのは難しいんだって
この鳥はパパになるのかママになるのか、どっちなんだろう……
References: Erie Bird Observatory,BBC