雛の毛色だけがカラフルなのはなぜ?アメリカオオバンの卵に隠された秘密

動物
Image by skeeze from Pixabay

アメリカやカナダなどに生息する「アメリカオオバン(American coot)」という鳥は、お世辞にも美しいとは言えない外見をしています。

真っ黒なカラスのような色をした体以外に目立つ要素は、白いくちばしだけです。

この鳥には面白い側面があります。

それは親鳥に比べて雛がとてもカラフルな色をしていることです。

鳥類学者はアメリカオオバンの子供がなぜカラフルな色をもって生まれてくるのか、そしてなぜ大人になると地味な色に変化してしまうのかについて長い間疑問を抱いてきました。

通常、鳥の見た目の派手さは生殖と関係しています。

カラフルな羽根や羽毛を持つ鳥は異性にアピールすることで子孫を残す可能性を高めています。

しかしアメリカオオバンにこの法則は当てはまりません。

雛のカラフルな羽毛は、大人になるまでに地味な色へと生え変わってしまうからです。

 

先日、アメリカオオバンの毛の色の変化がなぜ起きるのかについての論文が発表されました。

科学者によると、アメリカオオバンの雛がカラフルな色をしているのは、子孫を残すための戦略です。

 

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アメリカオオバンの雛の毛色は産まれる順番によって決まる

 

カラフルな毛色のアメリカオオバンの雛 (Jerry Kirkhart/Flickr)

 

米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された論文の中で、研究者たちは、アメリカオオバンがなぜカラフルな色の雛を生むのかについての新しい仮説を披露しています。

研究チームはアメリカオオバンが卵を産みそれを孵す様子について観察し、そこに謎を説く答えがあることを発見しました。

アメリカオオバンは一日に10個ほどの卵を産み、それらは通常順番に孵化していきます。

研究者たちは、雛たちが生まれるのが遅くなるほどカラフルな毛色をしていることに気づきました。

雛は卵の中で自分の毛の色を変えることはできません。

つまりこれは、母鳥が意図的に、自分が後半に産む卵に色素を多く入れていることを示唆しています。

しかしなぜこんなことをする必要があるのでしょう。

 

子孫繁栄戦略としての托卵

 

アメリカオオバンには「托卵(たくらん)」という習性があります。

托卵は卵を他の鳥の巣に産む行為のことで、子供の生存率を高めるために行われると考えられています。

研究チームはアメリカオオバンの托卵行動を観察し、そこにある法則があることに気づきます。

アメリカオオバンは一日に産む卵のうちの最初の方だけ――つまり生まれたときにより地味な色を持つ雛――を他の巣に産み付け、残りは自分たちの巣で産んでいました。

また巣での観察は、親鳥がよりカラフルな個体に優先して餌を与えていることも発見しました。

 

アメリカオオバンは他の鳥の巣に卵を産みますが、これは同時に、自分の巣に他の鳥の卵が混じっていることも意味します。

もし自分たちの巣の中に他の鳥の雛が混じっている場合、親鳥は自分たちの子供を正確に識別しなければなりません。

巣の中の雛たちが全てカラフルな色をしていたならば、どれが自分たちの本当の子供なのかがわからなくなってしまいます。

托卵先で生まれる雛の毛色が地味であるということは、自分の巣の中の同じような地味な毛色の雛が、他の鳥の托卵によって生まれた雛であることを示しています。

アメリカオオバンはカラフルな雛に優先して餌を与えるため、この色分けを使った戦略は、子孫の繁栄に大きな影響を与えます。

 

(Edward Rooks/Flickr)

 

アメリカオオバンはたくさんの卵を産みますが、雛の生存率は半分以下です。

それらの多くは餌を与えられないことによる飢餓によって死亡します。

アメリカオオバンは子孫繁栄のために、托卵という習性を獲得しました。

それは子供たちの生き残る可能性を高めることにつながります。

 

研究者たちはアメリカオオバンの雛の色分けは、子孫を繁栄させるために進化した適応だと考えています。

前半と後半で雛の毛色を分けることで、少なくとも自分たちの子供だけは識別することが可能になります。

そして運がよければ、托卵先の雛たちも生きながらえることができるかもしれません。

 

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いまだ謎が残るアメリカオオバンの習性

 

アメリカオオバンの雛の色分けにはまだいくつかの謎が残されています。

例えば、子供の色がカラフルであるということは、それだけ捕食者から目立つことになり生存の確率を低下させることにつながります。

せっかく自分たちの子供を色分けによって識別できたとしても、敵に食べられてしまったのでは元も子もありません。

また托卵によって他の鳥の巣で生まれたカラフルでない雛たちが、どれだけ生き残れるのかについても疑問があります。

それらのほとんどが生き残ることができないのであれば、そもそも托卵をする必要がありません。

 

研究を主導したカリフォルニア大学サンタクルーズ校のブルース・リヨン氏は、「はじめは托卵先で生まれる雛の色がカラフルであると考えていたが、そうではなかったことにショックを受けた」と述べ、20年以上にわたる研究を経てもなおアメリカオオバンが複雑な鳥であり、その生殖行動はこの鳥の興味深い側面であると語っています。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

托卵をするようになって雛の生存率がアップしたならいいけど、雛の色がカラフルだと今度は敵に襲われる可能性も出てくるよね

かなで
かなで

元々全ての雛を養うことは難しかったみたいだよ

ふうか
ふうか

托卵と色分けは子孫を残すためにできる彼らなりの適応なのかもしれないな

 

 

 

References: PNAS,mnn

コメント