なぜここに?ギリシャの女人禁制の修道院から発見された女性のものと思われる骨

歴史
(Mountain Athos/Witold Rawicz(PL)/Wikimedia)

ギリシャにあるアトス山は正教会の聖地になっていて、10世紀に修道士の自治体が設立されて以降、20の修道院が立てられ多くの修道士が厳しい修行に励んでいます。

この地域は現在「アトス自治修道士共和国」として、治外法権の認められた独立国家のように機能しています。

この聖地に立つ修道院は女人禁制で知られていて、過去の王妃でさえアトス山の土を踏むことを許されませんでした。

EUは共和国の、猫以外の雌の動物でさえ入ることのできない厳しい措置に対しこれを違法としているものの、共和国側は逆に海岸線を延長するなど対抗姿勢を見せています。

 

最近になって行われた礼拝堂の修復工事の際、不思議なものが発見され話題となっています。

それは礼拝堂の石の床の下から出てきた複数の人間の骨です。

専門家はこの骨がどこかから移送されてきたと推測していますが、それ以上の驚きだったのは、これらの骨の中に明らかに男性のサイズと異なる骨が含まれていたことです。

もしそれが「女性」の骨である場合、多くの謎が生まれることになります。

 

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礼拝堂の地下に埋まっていた“小さすぎる”骨

 

骨が見つかった聖アタナシウスの礼拝堂 Photo: Phaidon Hadjiantoniou

 

アメリカ出身の人類学者ローラ・アンティカス氏(Laura Wynn-Antikas)は、ギリシャ全土の墓や礼拝堂、地下の隠された場所など、様々な考古学的な遺跡で骨を専門に調査してきた経験を持ちます。

彼女の仕事は骨に命を吹き込むことです。

アンティカス氏は「骨は嘘をつかない。彼らは人がどのように生き、そして死んでいったのかを教えてくれる」と話します。

 

アンティカス氏は、ギリシャのアトス山にある礼拝堂で骨を見つけた、建築家で修復家であるPhaidon Hadjiantoniou氏の依頼を受けて調査を行っています。

彼女ははじめにそれを見たとき非常に驚きました。

骨のいくつかが明らかに男性のサイズよりも小さかったからです。

これは女人禁制であることが絶対的な価値であるこの地域に、女性が足を踏み入れていた可能性を示す発見です。

 

アンティカス氏は骨を見たときのことをこう振り返ります。

 

見つかった骨の中には前腕、脛骨、仙骨があり、それらの形態はまったく異なっていました。明らかに男性のフレームに属するものがある一方、サイズが著しく異なるものもありました。

 

骨は礼拝堂の地下に埋め込まれていて、その状況から、最初からここに埋められたのではなく細心の注意を払ってどこか別の場所から運ばれてきたと考えられています。

礼拝堂が属しているパントクラトール修道院は、骨のサンプルを放射性年代測定にかけることを提案しました。

もしこの骨が女性のものだった場合、「女性は一体誰だったのか」、という疑問が生まれるのは間違いありません。

 

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女人禁制の地での女性の骨の発見は大きな議論を巻き起こす可能性がある

 

見つかった骨を調べるアンティカス氏とManiatis博士 Photo: Phaidon Hadjiantoniou

 

最初に骨を発見したHadjiantoniou氏は、過去に修道院が海賊の襲撃などで女性のために門戸を開いた例があると話します。

 

しかし彼はこれは非常に限られた例であると強調します。

 

セルビアの王が自分の妻をアトスに連れて行ったという有名な物語があります。しかし王妃がアトスの土を踏むことは許されず、全ての修道院の部屋にはカーペットが敷かれました。

 

Hadjiantoniou氏は、骨が女性のものである場合、女性がアトス山で亡くなったことを示す初めての証拠だと語っています。

また自身の40年に及ぶ建築修復の経験の中で、礼拝堂の床の下に骨を発見したのは初めてのことだったと付け加えました。

 

アンティカス氏の詳しい調査により、床の下に埋められていた骨は少なくとも7人分あり、頭蓋骨が存在していなかったことがわかりました。

アンティカス氏は、これらの骨はどこか別の場所から移された「二次埋葬」によるものであり、またそのことが骨の持つ情報を失わせている大きな要因だと指摘しました。

そして骨が教会の床の下で見つかったのは、埋葬された人たちが、修道院にとって重要な意味を持っていたからではないか、と話しました。

 

見つかった骨は、今年の秋にアテネにあるデモクリトス研究センターに運ばれ、現在放射性年代測定を受けている最中です。

ギリシャの考古学分野の第一人者であるYannis Maniatis博士のもと、長い時間をかけて骨の年代が明らかにされる予定です。

Maniatis博士によると骨の分析には3カ月かかる可能性があり、また女性であるかどうかを確実に知るためには追加のDNA検査が必要になります。

分析結果次第では、女人禁制の地にどうして女性が存在していたのかについて、世界中が熱い議論を交わすことになるのは確実です。

 


 

 

せつな
せつな

女人禁制の地で発見された女性の骨……これは強烈な事件の匂いがする……

ふうか
ふうか

まだ女性のものと決まったわけじゃないが、表にならない歴史が隠されているのだろうな

しぐれ
しぐれ

なんでわざわざ他の場所から礼拝堂の地下に埋葬し直したんだろう?不思議だね~

 

References:The Guardian

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