メキシコシティで1500年前の遺物を発見 テオティワカンの支配下にあった村の証拠

歴史
(Marisol Bautista Roquez,INAH)

メキシコ国立人類学歴史研究所(INAH)は、メキシコシティでの発掘調査の結果、1500年前の村の痕跡を発見したと発表しました。

INAHは2023年3月から6月にかけ、メキシコシティのノノアルコとトラテロルコ地区の調査を行い、1960年代に存在が指摘されていながらも物証が乏しかった、テオティワカン時代の建物の跡を見つけました。

発掘されたのは、子供1人と大人2人の遺骨のほか、排水路、柱穴、石のライン、掘り抜き井戸、そして大量の陶器などで、分析により450年から650年頃のものであることがわかりました。

 

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メキシコシティから50キロほど北東にあったテオティワカンは、当時、メソアメリカの中心都市として、周囲の村や集落に強い影響力をもっていました。

今回見つかった陶器からは、テオティワカン時代の作品にみられる特徴が確認されており、研究者はこの村が、テオティワカンの支配下にあったと推測しています。

 

 

2005年に亡くなった考古学者のフランシスコ・ゴンザレス・ルールは、1960年から1964年にかけて行われた近代建築物の工事中、この場所にテオティワカン時代の村が残されている可能性を指摘しました。

彼は、村にはテスココ湖(*)の資源を利用していた漁師集団が住んでいたと主張していましたが、当時、それを裏付ける証拠は出土しませんでした。

今回見つかった複数の遺物は、ゴンザレス・ルールの見立てが正しかったことを証明するものです。

INAHの発掘プロジェクトに携わった考古学者のフアン・カルロス・カンポス・バレラ氏と、マラ・アビゲイル・ベセラ・アメスクア氏は声明で、「新たな発見は、この地域にテオティワカンの支配下にあった村が存在していたことを実証するものです」と述べています。

(*テスココ湖はかつて存在していた大きな湖で、埋め立てによりそのほとんどが失われました。現在のメキシコシティはテスココ湖の上に作られています)

 

 

発掘では、関節のある模型の人形、緑色の石、貝殻、黒曜石や火打ち石の破片など、漁とはあまり関係のない遺物も多数見つかりました。

テスココ湖があった時代は、湖畔に大小さまざまな村や集落があり、それらはテオティワカンを含む交易ネットワークで結ばれていました。

様々な道具は、他の集団との取引のために作られていた可能性があります。

カンポス・バレラ氏とベセラ・アメスクア氏は、「この村の経済は、自給自足と採集だけでなく、湖の余剰利用を伴うものであったはずです」と述べ、見つかった道具は、「おそらくは職人によって生産され、狩猟や交易などに用いられたものである」と指摘しています。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

メキシコシティは埋め立てた湖の上にあるから、今でもいろんなものが発掘されるんだよ

せつな
せつな

1500年前の物まで出てくるのはすごい……

 

References: INAH,CNN