食べるだけじゃない?ストーンヘンジで見つかった大量の脂肪から推測される豚の意外な活用法

イギリスに見られる巨石文明はいまだ多くの謎に包まれています。

その謎のうちの一つが、どのようにして当時の人が大きな石を移動させたのかというものです。

遺跡に利用された石の多くはどこか別の場所から切り出され運ばれてきたものがほとんどです。

 

ストーンヘンジのすぐ近くにあるダーリントン・ウォールズの遺跡では数多くの食器や陶器が見つかっています。

陶器には豚の脂肪が付着しており、それらは当時の人たちの食生活を理解する重要なヒントとなるものです。

こうした食器や陶器に付着した動物の油は他の歴史遺跡でも見られるものですが、新しい研究によると、ストーンヘンジが作られた時代のイギリスでは、豚は食事としてだけでなく別の目的でも飼育されていました。

 

豚の脂肪は巨石をスムーズに動かすための油の役割を果たしていた可能性があります。

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豚の脂肪は巨石を動かすための潤滑油としても利用された

 

Photo byKabacchi/Flickr

 

イギリスニューカッスル大学の考古学者リサ・マリー・シリト氏は、遺跡で見つかった陶器に付着していた豚の脂肪が当時の人たちの食事によるものだけではないという仮説を立てています。

ここで見つかった陶器に付着していた脂肪の量は通常他の遺跡で見つかるものの7倍以上です。

ストーンヘンジのような石の記念碑を建設するには多くの人員が必要であり、また食事の提供も不可欠であることから、単にダーリントン・ウォールズが労働者の集まる場所だった可能性もあります。

しかしシリト氏はこのたくさんの脂肪が巨石を動かすための油(グリース)として利用されたのではないかと推測しています。

 

陶磁器から回収された脂質や脂肪の残渣が非常に高いレベルで保存されていることに興味がありました。なぜ陶器の中に豚の脂肪が大量に含まれているのかをもっと知りたかったのです。

 

シリト氏は発掘された動物の骨の状態から、これらが鍋で調理されたのではなくその多くが“串焼き”にされた痕跡があると話します。

通常食事として提供される場合、肉は細かく切り刻まれ鍋で調理されます。

しかしここで見つかった豚の脂肪の量と骨から推測される調理方法は、豚が食料としてだけではない別の目的のために供された可能性を示唆しました。

シリト氏は遺跡の多くがその建築材である石を別の場所から運んできていることに着目します。

 

巨石をどのようにして運びまたどのようにして組み立てていったのかについては考古学者の間でいまだに意見が分かれています。

2016年にロンドンで行われたある実験は、シリト氏が持論を展開するきっかけとなりました。

そこでは、2トンの重さの巨石を木製のそりや丸太およびロープを使って移動させる「そり理論」の検証実験が行われました。(運ばれたのはコンクリートブロックでした)

シリト氏は実験結果から、石とそりの間に何らかの潤滑剤を含ませることで運搬がよりスムーズになるのではないか、と考えます。

そしてその考えは、ダーリントン・ウォールズで見つかった豚の脂肪が大量に付着した陶器と結びつきます。

 

シリト氏は、豚の脂肪は巨石の運搬に利用されていた可能性があると語ります。

 

これまで考慮されていなかった解釈は、これらの残留物が食品以外に使用された可能性があるということです。このような解釈は巨石運搬のための「油によるそり理論」をサポートします。

 

シリト氏はまた「潤滑のための獣脂の生産はごちそうとしての豚を除外するわけではなく、実際それらは同じ絵の一部を形成するかもしれない」と述べ、豚が運搬のための油としてだけでなく人々の食事としても利用されていたと語りました。

 

今のところこの考えは仮説ではありますが、シリト氏は他の遺跡や文明で発見される食品容器についても複数の機能や意味がある可能性を排除するべきではないと主張しています。

食器やそこに付着している残留物は、当時の人たちの食習慣を明らかにするだけでなく何か別の意味が含まれている可能性もあります。

シリト氏の大胆な推測は、古代の文化を知ろうとする考古学者にとって柔軟な視点の必要性を再確認させるものです。

 


 

実際のところ当時のストーンヘンジやその周辺で豚がどのように飼われ、また消費されていたのかはよくわかっていません。

別の研究によれば、豚はストーンヘンジ周辺には元々生息しておらず、他の地域から“わざわざ”持ちこまれたことがわかっています。

 

 

ストーンヘンジや周辺の遺跡群の建設に豚の油が使用されていたのかについては今後の研究が待たれます。

少なくとも古代のイギリス人たちが、豚を(いろいろな意味で)好んでいたのだけは間違いありません。

 

 

 

References:ScienceAlert

歴史
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