6600年前からあった貧富の差 豪華な装身具を身に着けた骨が示す肉食の証拠

歴史
(Annie Spratt/Unsplash)

人間の社会がいつから経済的不平等を抱えるようになったのかという疑問は、考古学者にとって大きな関心事の一つです。

古い時代に生きていた人の富を計測するには、墓地に埋葬されている副葬品がヒントになります。

ほとんどの場合王や貴族、商人といった人々は、金や銀、当時の高級品などとともに立派な墓に入りました。

副葬品はその人物の生前の地位について多くの情報をもたらしますが、必ずしも高価な品が経済的豊さを反映しているとは限りません。

例えば古代エジプト人は死を次の生への重要なステップと考えていたため、身分や富にかかわらず、出来得る限りの豪華な品とともに埋葬されました。

 

スウェーデン、アメリカ、ポーランド、イギリスの国際的な考古学者チームは、埋葬されていた人物の骨に含まれる成分から、当時の社会の経済的不平等の証拠を導き出しています。

人間社会における貧富の差は、少なくとも6600年以上前から存在していました。

 

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豪華な品とともに埋葬された人は日常的に牛肉を食べていた

 

ポーランドの北中部オスウォンキ(Osłonki)にある紀元前4600~4100年頃の墓地の調査では、埋葬されていた30人の骨と、周辺地域で見つかった128の動物の骨について分析が行われました。

埋葬されていたのは18歳から45歳までの成人で、一部は銅製のビーズやペンダントなどの装身具を身に着けていました。

 

研究者は人間と動物の骨から特定の窒素と炭素の同位体を探し、彼らが食べていたものが身分や貧富の差によって異なるかどうかを調査しました。

骨は生前に取り入れた栄養素の痕跡を残します。

これまでの研究では、高位の個人や「戦士」クラスの人物の骨から、多くの動物性タンパク質の痕跡が見つかっています。

数千年も前の時代、肉を食べるのは簡単ではなく、ほとんどの人は限られた機会にしか口にすることができませんでした。

骨に動物性タンパク質が含まれている場合、その人物は副葬品の豪華さとは関係なく当時の社会で富を手にしていたと考えられます。

 

分析結果は、装身具を身に着けていた人物が牛を食べていたことを明らかにしました。

また牛の骨からは、牛が日陰の草ではなく、開けた場所の草を食べていた証拠も見つかりました。

これは、牛が食肉のために計画的に放牧されていたことを意味します。

一方、シンプルに埋葬されていた人物の骨からは、動物性タンパク質が検出されませんでした。

おそらく彼らは富んだ人とは異なり、牛を定期的には食べていませんでした。

研究者はこれらの結果から、オスウォンキに埋葬されていた人のうち豪華な装身具を身に着けていたグループは、当時の社会において多くの物を手に入れられる立場にあったと結論づけています。

 

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オスウォンキの墓の周辺からは牛以外にも、ブタやシカ、ビーバーや魚、鳥といった動物の骨も見つかっています。

豊富な種類の骨の存在は、多くの人が実際には何らかの肉にありつけていた可能性を示唆しています。

 

研究結果はAntiquityに掲載されました。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

他の地域の調査でも副葬品の多い人ほど肉食だった証拠が見つかってるみたいだよ

せつな
せつな

牛肉はいつの時代も高級食材……

 

References:  Phys.org