行方不明だった古代ローマのフレスコ画がポンペイへ 1970年代に盗まれたもの

歴史
(Archaeological Park of Pompeii)

イタリアのポンペイ考古学公園は、行方不明になっていた古代ローマのフレスコ画を警察の協力により取り戻したと発表しました。

フレスコ画は1970年代にポンペイ近郊の史跡スタビアエから盗まれたものです。

イタリアでは文化遺産の違法な取引を防ぐため、カラビニエリ(国家憲兵隊)の部隊が広範な取り締まりを行っています。

今回のフレスコ画の返還は、2020年の7月に始まった一連の捜査活動によるものです。

 

 

ポンペイとその周辺都市の発掘は18世紀に始まり、これまでに数多くのフレスコ画が発見・保存されてきました。

一方で盗掘も絶えず発生し、古代ローマの文化を示す貴重な遺物のいくつかは現在でも行方不明のままです。

今回ポンペイ考古学公園とカラビニエリのチームは、盗難美術品のデータベースを調べ、スタビアエのフレスコ画が1970年代に盗まれた後、1990年代にアメリカ、スイス、イギリスの骨董商によって購入されたことを突き止めています。

 

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フレスコ画には、女性の頭部、盆を持って踊る女性、笛を吹くケルビム(智天使)がそれぞれ描かれています。

 

女性の頭部を描写したフレスコ画 (Archaeological Park of Pompeii)

盆を持って踊る女性 (Archaeological Park of Pompeii)

笛を吹くケルビム (Archaeological Park of Pompeii)

 

見つかったフレスコ画について、イタリアの文化遺産保護チームの責任者ロベルト・リッカルディ氏は、「非常に価値のある古代の作品が正当な場所に戻ってきた」と述べています。

またポンペイ考古学公園の前責任者であるマッシモ・オザンナ氏は、「フレスコ画が返還されたことで、失われていた考古学的なコンテクストが再構成されるようになります。それぞれの発見は、その場所の歴史と知識の重要な一部であり、常に保護され保存されるべきものです」と述べています。

 

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ポンペイ考古学公園はプレスリリースで、2012年に盗掘被害にあった別のフレスコ画の返還も発表しています。

このフレスコ画は、ポンペイの北西にあるチヴィタ・ジュリアーナと呼ばれる区画にあった別荘に描かれていたもので、犯罪組織が海外に持ち出そうとするところを警察が発見したものです。

チヴィタ・ジュリアーナの発掘現場からは、盗掘者が遺物を運び出す際に使用していたとみられるトンネルが見つかっています。

チヴィタ・ジュリアーナでは昨年、ヴェスヴィオ火山の噴火に巻き込まれた主人と奴隷の遺体が発見されています。

 

 

ヴェスヴィオ火山は西暦79年に大噴火を起こし、ふもとにあったポンペイ、ヘルクラネウム、スタビアエといった都市を一瞬で壊滅させました。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

チヴィタ・ジュリアーナでは盗掘が起こらないように、警察が発掘調査に協力してるんだって

ふうか
ふうか

色が鮮やかに残っていて、とても2000年前のものには見えないな

 

References: Archaeological Park of Pompeii,The Guardian