エジプト考古省は11月23日、サッカラにあるネクロポリス(墓地)で、ライオンのミイラを含む複数の動物の形をした副葬品を発見したと発表しました。
発見されたのは、数十匹のミイラ化したネコ科の動物や、75体の木製と青銅製のネコの彫像、それに通常の3倍から4倍の大きさのミイラ化した巨大なカブトムシなどで、特に、ミイラ化したネコ科の動物の中にはとても珍しいライオンの子供2匹が含まれていました。
New Discovery in Saqqara: Five mummies of large cats among them two of lion-cubs. Statues of falcons, cats, mongooses, cobras & deities were also found. # @khaled.elenany #egypt #saqqara #archaeology #antiquities #historyofegypt #newspapers #egyptology #mummies #ancientegypt pic.twitter.com/b12sLow9vs
— Ministry of Antiquities-Arab Republic of Egypt (@AntiquitiesOf) November 23, 2019
動物の種類は豊富で、ネコだけでなく、鷹、マングース、コブラなどもあり、現時点では特定できていない種もありました。
エジプト考古最高評議会のムスタファ・ワジリ氏は、特定できていないミイラ化したネコ科の動物について、「チーターであれヒョウであれ、雌ライオンであれ、いずれにしてもこの種のものになるでしょう」と述べ、今後、調査によって種が明らかにされるだろうとの見通しを示しました。
ミイラ化した大きなネコ科の動物は、2004年に同じくサッカラの墓地で発見されたライオンのミイラの近くで見つかりました。
動物をかたどったミイラは、当時の人たちの崇拝の対象として、もしくは神への捧げものとして作られました。
カイロ・アメリカン大学のミイラの専門家、サリマ・イクラム博士は、人々は神への捧げものとして動物をミイラのような形にした、と述べます。
これは石や木に描かれるイメージと比べて、より血の犠牲としての意味合いがありました。
イクラム博士は、今回発見されたネコ科のミイラは、紀元前30年に終わったプトレマイオス朝時代のものと推定しています。
博士はライオンを含む数々の動物のミイラについて、「これは動物ミイラにおける、世界で最もエキサイティングな発見だ」と語っています。
エジプトは現在サッカラの近くに新しい博物館(大エジプト博物館)を建設しており、近年失われていた観光客を呼び戻すきっかけにしようと考えています。
エジプトの観光客の数は、2011年のムバラク政権の崩壊による政治不安や治安への懸念から急激に落ち込み、それまで年間で1,400万人だった海外からの旅行客は、徐々に盛り返してきてはいるものの、昨年時点で1,130万人にとどまっています。
エジプト政府は国内の混乱を抑え、また国際的なイメージを回復することに力を入れており、今回のライオンを含む多数の動物ミイラの発見がそれを後押しすることになるのかが注目されます。
エジプト考古省の大臣カレド・アル・アナニ氏は、今回の発見が「エジプトにとって素晴らしいプロモーションになる」と話し、多くの観光客が再びエジプトに戻ってくることに期待を寄せました。
エジプト神話の神の多くは動物をモチーフにしてるんだよ。だから猫のミイラが発見されるのも納得だね
バステトという女神は猫や雌ライオンがモデルになってるとか。昔の人もネコ科の動物の可愛さにメロメロだったのかもしれない……
References:The Guardian