過去1世紀で最も重要な発見、エジプトのネクロポリスで発見された手付かずの棺とミイラ

歴史
Image Credit:Ministry of Antiquities-Arab Republic of Egypt

エジプト考古省は10月15日に、ルクソールのネクロポリス(巨大墓地)であるエル・アサシフで30近くの手付かずの棺を発見したと報じました。

その後当局は情報を整理した後、10月19日に発見の詳しい内容について明らかにしています。

エジプト考古最高評議会のムスタファ・ワジリ事務局長は、この発見が過去1世紀以上の期間における国内での最大の発見だと語りました。

 

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エジプトでは毎年のように重要な発見がありますが、そのほとんどは外国人の手によるものです。

ワジリ氏は、エル・アサシフでの発見は全てエジプト人の手によるものだと誇らしげに述べ、「神に誓って、言葉では言い表せないような気分だ」と現在の心境を表現しました。

 

 

発見された棺は封印されたままで、盗掘の被害に遭っていません。

その色とりどりの棺は、古代エジプト人が死んだ人を手厚く葬り、来世での復活が華々しいものとなるよう鮮やかな装飾を施したことが一目でわかる、文化的にも重要な発見と言えます。

 

棺が作られた年代は約3,000年前と推定され、ミイラには成人した男女と中流階級であると思われる2人の子供が含まれていました。

ワジリ氏によると、ミイラの性別は棺に描かれた手の状態で見分けることができ、両手を握りしめている場合は男性、両手を開いている場合は女性だということです。

また子供のミイラの発見は非常に珍しいものです。

 

考古学者のザヒ・ハワス氏は今回の発見――手付かずの30近い棺と子供のミイラ――は世界的に重要だと述べます。

またハワス氏は、棺に鮮やかに描かれているエジプトの神々や象形文字、死者の書の場面だけでなく、棺に死者の名前が刻まれていたことも重要な発見であると語っています。

 

Image Credit:Ministry of Antiquities-Arab Republic of Egypt

 

写真からもわかるようにこの棺の鮮やかさはとても今から3,000年も前に作られたとは思えないほどです。

この点についてワジリ氏は、当時の職人が塗料の材料である石灰岩や赤い樫、ターコイズなどに卵白を混ぜたことが要因であると指摘します。

同氏によると、そうして作られた塗料で棺を彩色した後、その上から卵黄とろうそくで保護することで長い間自然な輝きを保つことが可能になるということです。

 


 

棺は最初頭の部分だけが露出しており、そこから立て続けに17の棺が見つかりました。

しかしその後、棺の下の方にも別の12の棺が隠されていることがわかりました。

封印された棺は互いに積み重ねられ、砂の下3フィート(約91センチメートル)に2列になって埋葬されていました。

こうした埋葬法は盗掘を避けるためだったのではないかと考えられています。

 

考古学者のハワス氏は、この発見は性別や年齢に関係なく当時の人たちが死者をどのように埋葬したのかについて新たな考え方をもたらすものだと述べます。

 

これは来世の信念に関するエジプト学者としての私たちの知識を豊かにする発見です。

 

発見されたミイラは復元作業が施された後、2020年末にオープンする新しいエジプト博物館に展示される予定となっています。

 

 

 


 

 

しぐれ
しぐれ

3,000年前も昔なのに色がちゃんと残ってるのがすごいよね~

せつな
せつな

古代の絵師も侮れない……

 

References:CNN