水没した古代都市ヘラクレイオンから寺院の跡や金貨、舟などが発見される

歴史
Credit:Ministry of Antiquities-Arab Republic of Egypt

紀元前6世紀から4世紀の間に栄え、ギリシャ神話の英雄ヘラクレスが訪れたとされるエジプトの古代都市ヘラクレイオンの古代遺跡から、新しく寺院の跡が発見されました。

2000年にアレキサンドリア近くのアブギール湾沖の海底で発見されたヘラクレイオンの遺跡は、それ以来続けられている調査で数々の遺物や財宝、石碑、舟などが見つかっています。

 

ギリシャの歴史家により紀元前12世紀頃にはその存在が指摘されていたヘラクレイオンは、その後の天変地異(およそ1500年前に起きた大地震と洪水)により海底に沈んでしまいました。

時代が過ぎるとその存在は忘れ去られ、アトランティス大陸と同じように、伝説の、または神話上の都市として考えられるようになります。

しかし2000年にフランスの考古学者フランク・ゴディオ氏がヘラクレイオンを発見したことで、それが伝説ではなく現実に存在した都市であったことが判明しました。

 

ヘラクレイオンは当時の地中海貿易の中心地であり、活気に満ちた大都市としておおいに賑わっていました。

その栄華を示す貴重品が続々と海底から引き揚げられています。

スポンサーリンク

 


 

エジプト考古省は、ヘラクレイオン遺跡を調査中のダイバーが、寺院の跡や金の宝石類、コイン、舟の遺物などを発見したと報告しました。

 

2000年に最初に遺跡を発見したフランク・ゴディオ氏とエジプトの考古学者で構成された発掘チームは、海底に埋もれている遺跡を探すためにスキャニングツールを使用しました。

スキャンの結果は、これまでの調査で発見されていた75隻に及ぶ舟のうちの欠けている部分を明らかにしました。

過去に見つかっていた75隻の舟はその状態が完全ではありませんでした。

考古省は声明の中で、今回発見された舟は過去に見つかった舟を補完する部分である可能性が高いと述べています。

これらの舟は儀式目的で利用されていたと考えられていて、舟の大きさは今回のスキャン結果をつなぎ合わせると、長さ13m、幅が5mの大きさであることがわかりました。

 

またこの舟には青銅と金のコイン、陶器、そして宝石類などが積まれていました。

 

Credit:Ministry of Antiquities-Arab Republic of Egypt

 

Credit:Ministry of Antiquities-Arab Republic of Egypt

 

これらの宝物は、紀元前285年から246年にエジプトを統治していたファラオ、プトレマイオス2世の時代のものと推測されています。

 


 

ヘラクレイオン遺跡から発掘される遺物は状態の良いものが多く、当時のエジプトがいかに先進的な都市であったのかを私たちに教えてくれています。

忘れ去られていた海底に沈んだ都市と、そこから発掘される数々の財宝類……ロマンに満ちた発掘調査は今後も驚きの発見をもたらしてくれることでしょう。

 

 

 

References:LiveScience,Ministry of Antiquities-Arab Republic of Egypt