人間の使い捨て習慣はいつ頃から始まったのでしょう。
現在大英博物館で展示されている2つの使い捨てカップには、大きな時代の開きがあります。
一つは1990年代の紙コップ。
もう一つは、ヨーロッパの最初の高度な文明の一つである、ミノア文明(クレタ文明とも)の遺跡から発掘された取っ手のない容器です。
この容器はいまからおよそ3,500年前のもので、研究者はこれを、当時の使い捨てのワイン容器であると推測しています。
人類は遥か昔から洗い物を嫌っていたようです。
古代の使い捨てカップは現代の環境問題を考えるきっかけになる
ミノア文明の栄えたクレタ島の発掘では、クノッソス宮殿をはじめとした遺跡から何千もの取っ手のない円錐形の容器が見つかっています。
ミノア人はこの容器を使ってワインを飲んでいました。
大英博物館の学芸員ジュリア・ファーリー氏は、これら数千もの似たような取っ手のない容器は、一回限りの使い捨てとして作られたと考えられると話し、「当時の人たちも、私たちと同じように洗いものをしたくなかった」と説明しました。
ファーリー氏はイベントで展示される2つの容器から、訪問者が使い捨てに罪悪感を持つのではなく、無駄を減らすことについて考えるようになることを望んでいます。
ミノア文明の使い捨てカップは現代のものとは少し勝手が違います。
容器は権力者やエリートたちが集まって行われた大規模なパーティーなどで使用され、また発掘された容器に指紋などが残っていることから、それがパーティーのために急いで作られた一晩だけのものであると推測されています。
ファーリー氏は、容器が数百人または数千人のゲストにワインをふるまうための大量生産品であり、またそれらを使い捨てることは主催者の富や権力を表す手段であったと話しています。
一方対比として並べられた現代の紙コップは、金持ちや権力者でなくても誰もが気軽に利用しています。
ファーリー氏は、人間が常にゴミを生み出してきた存在であり、それは人間であることの避けられない副産物であると指摘しつつ、この2つの時代の離れた使い捨て容器には、規模と消費のバランスについて現代人に考えさせるメッセージが込められていると述べます。
ミノアの使い捨てカップはたくさんあります。しかし今日私たちは、毎年世界中で3,000億以上の紙コップを作っています。使い捨ては人類がこれまでにやってきたことですが、私たちはそれを生分解に数百年かかる材料と規模で行っています。
大英博物館のディレクター、ハートウィグ・フィッシャー氏は、「この展示がゴミとの関係について考えるきっかけになることを願っている」と話しています。
使い捨ての歴史を展示する大英博物館のイベント「Disposable: introduction to the display 」は、2020年2月23日まで開催される予定となっています。

3,500年も昔から使い捨ての習慣があったなんて驚きだね~

洗い物や後片付けをしたくない気持ちは今も昔も変わらないということだな
References: The Guardian