世界最古のチェスの駒?1,300年前の石片がルークである可能性

歴史
Image by Thanapat Pirmphol from Pixabay

チェスは古くから世界各地で遊ばれてきました。

その楽しい遊びの起源は1,500年ほど前のインドで、その後すぐに交易ルートに沿って西へと広がっていったと考えられています。

先週サンディエゴで開催された、アメリカ・オリエント学研究所(American Schools of Oriental Research)のミーティングで、カナダの考古学者がある発表を行いました。

それは1991年にヨルダン南部のフマイマ(Humayma)遺跡で発掘された石片が、世界最古のチェスの駒――ルーク――ではないか、というものです。

チェスの基盤となったインドの遊び「チャトランガ」は、紀元前には既に存在していることが判明していますが、それがどのようにチェスの形式に様変わりし広まっていったのかについてはよくわかっていません。

遺跡で発見された石片が本当にチェスの「ルーク」である場合、これまで発見された中で最も古いチェスの道具になります。

 

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ヨルダンの遺跡で見つかった世界最古の「ルーク」

 

カナダのビクトリア大学の考古学者ジョン・オレソン氏は、新しい分析結果から、1991年に自身が発掘した石片が最も古いチェスの駒であると発表しています。

ルークの年代はおよそ1,300年前と推定され、これまで見つかっていた最も古いチェスの駒よりもさらに100年遡るものです。

 

オレソン氏はルークが見つかったヨルダンの遺跡「フマイマ」の位置が重要であると考えています。

その理由は、この場所がインドから西へと続く交易ルート上にあることです。

またフマイマは何百年もにわたり多くの文化が花開き、繁栄を極めた当時の重要都市でもありました。

フマイマにはイスラム教のモスクをはじめ、ビザンチン教会、ローマ時代の砦など数多くの文化的遺産が残されています。

 

オレソン氏は「チェスは西暦643年にはイスラム教のテキストに言及が見られ、当時のイスラム世界で人気だった」と述べます。

 

このゲームはおそらく商人や外交官の動きによってインドから西方に運ばれました。フマイマのような交易ルート上の都市でチェスの証拠が見つかるのは驚くことではありません。

 

オレソン氏はフマイマの交易上の重要性を考えれば、チェスという最新の遊びがこの場所に伝わったのは自然なことだと述べ、石片が世界最古のルークである可能性は極めて高いだろうと説明しています。

 

発見されたルークのような石片 Image Credit:  John Peter Oleson

 

写真のルークは抜けた歯のようにも見え、到底現在のチェスのルークのようには見えません。

現在遊ばれているチェスのルークは“塔”や“城”の形をしているのが主流です。

しかしチェスの駒の形は時代と共に変化してきました。

古い時代のルークは“戦車”をかたどっており、現在のような塔や城の形をしていなかったため、写真のようなルークが実際に存在していた可能性はあります。

 

これが本当に最古のルークであるのかは今後の調査を待つ必要があります。

オレソン氏は、当時のフマイマがアッバース朝を開いた一族の本拠地であり、裕福で大きな権力を持っていたと指摘し、この地にチェスがいち早く取り入れられたのは、彼らの他国に対する情報収集活動によるものではないかと推測しています。

そして、自身の仮説を裏付ける証拠を得ることと、他の関連する遺物を発見するためにフマイマの発掘を続けるとしています。

 


 

この石片が本当に古代のルークだった場合、オークション市場がざわめく可能性があります。

チェスの駒はコレクションアイテムにもなっており、古いものは高値で取引されます。

今年の7月には、1831年にスコットランドで発見された世界で最も有名なチェスセット「ルイス島のチェス駒(Lewis Chessmen)」のピースの一つ、「ルイス・ウォーダー(Lewis Warder)」がオークションにかけられ、929,000ドルで落札されています。

「ルイス島のチェス駒」の制作年代は12世紀頃と推定されていますが、もしフマイマの石片が本当にルークであるならば、その1,300年前という年代から、想像もつかない値がつくのは間違いないでしょう。

 


 

 

ふうか
ふうか

ただの石のようにも見えるが、本当にチェスの駒なのか?

しぐれ
しぐれ

人間がそんな古い時代からチェスで遊んでいたなんて驚きだね~

せつな
せつな

遊びは時代を超越する……

 

 

References:LiveScience

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