海岸で発見された謎の物体、正体は船の墓場からたどり着いた17世紀の手りゅう弾

歴史
Credit: Robert Felce

2018年11月、英国コーンウォールにあるリザード半島の海岸で、奇妙な形をした岩が発見されました。

地元の歴史家Robert Felce氏が見つけたまるで牡蠣のような見た目をした岩は、その後の調査で、17世紀に作られた手りゅう弾であることがわかりました。

リザード半島のある海域は、激しい嵐が頻繁に発生する船の墓場として知られ、過去に数多くの沈没船が見つかっています。

 

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船の墓場から流れてきた17世紀の手りゅう弾

 

発見された手りゅう弾 Credit: Robert Felce

 

海岸の近くに住むFelce氏は、難破船や沈没船からの漂着物をいくつも拾ってきた経験を持ちます。

今回発見した手りゅう弾は、経験豊富なFelce氏をもってしても、最初は岩だと思わせるほど原型をとどめていませんでした。

海岸の探索では金属探知機を使わずもっぱら目を使うというFelce氏は、発見した岩の塊が沖から流れてきたものだと推測し、リザード半島沖で沈んだ商船や海賊船のデータを綿密に調べました。

その結果、見つかった場所と海流との関係から、かつてオランダ商船であり海賊の手に渡った後、イギリスの海軍の輸送船として活躍した「Schiedam号」という船がこの辺りで沈没していたことを突き止めました。

Schiedam号は1674年、モロッコのタンジェから軍用資材を載せイギリスに向かう途中で嵐に遭い、リザード半島沖で沈没しました。

 

Schiedam号と似た構造のフリュート船

 

政府が管理しているSchiedam号に関するデータは、当時の沈没の状況について、船員たちは近隣のデヴォン州の兵士に助けられ、積み荷の被害は軍馬だけだったと記していました。

これが事実であれば、見つかった奇妙な岩はSchiedam号の積み荷ではないことになります。

しかしSchiedam号の沈没は歴史の事実として昔から知られていたものの、実際の発掘調査が行われたのは1971年になってからです。

Felce氏はこの事実から、岩はSchiedam号の兵士が使っていた手りゅう弾であり、その他の武器や遺物などもまだ海底に沈んでいると推測しています。

 

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300年以上海底に沈んでいた手りゅう弾はその後の詳細な調査によって、鉄の殻に数オンスの火薬を詰めて作られていたことがわかりました。

念のため爆弾処理班を呼んで火薬を除去してもらったFelce氏は、この海域にはSchiedam号以外にも多数のお宝を積んだ船が沈んでいると指摘します。

最近発見された、記録にないオランダ商船にはダイヤモンドと真珠が積まれていました。

Felce氏は「ここにはまだ沈没船が眠っている」と述べ、この先も海岸で新しい漂着物を探していきたいと意気込みをみせました。

 

沈没したSchiedam号の残骸は現在、歴史的遺物の保存や記録を行っているイギリス政府の「ヒストリック・イングランド」によって管理されています。

 


 

 

かなで
かなで

こんな形で本当に武器として効果があったのかなぁ

しぐれ
しぐれ

手りゅう弾を投げるのが得意な人は特別待遇だったらしいよ

 

References:livescience,foxnews