オーストラリア国立フィルム&サウンドアーカイブ(NFSA)は、オーストラリアにまつわる視聴覚メディアを収集する機関で、1935年以来、映画、音楽、テレビ、ラジオ、写真、文書などあらゆる分野から貴重な品を収集してきました。
2019年、ここにビデオゲームのジャンルが加わりました。
このコレクションはオーストラリアで開発されたタイトルを中心に、国内のゲームに関するメディアを集めるもので、ビデオゲームとその時代を知るユニークな教材として利用されます。
ビデオゲームはオーストラリアにとって重要な産業の一つで、政府は成長を期待して税控除などの継続的な支援を続けています。
2007年から始まった世界金融危機により大手メーカーが撤退を続け、残された開発者はモバイルやインディー市場に活路を見い出そうとしました。
政府はこれを後押しし、今やオーストラリア産のタイトルは、ゲーム市場において欠かせない存在にまで成長しました。
最近では、「Cult of the Lamb」、「Untitled Goose Game」、「Hollow Knight」などのタイトルが世界的にヒットしています。
ビデオゲームをコレクションに加えることになった背景について、NFSAの最高経営責任者であるパトリック・マッキンタイア氏は次のように述べています。
「私たちには、あらゆる種類の録音された音声だけでなく、画面上で視聴できるあらゆるものを収集し保存する義務があります。サウンドや動画が含まれているビデオゲームは工芸品であり、21世紀のオーストラリアにおける視聴覚文化の重要な表現です」
オーストラリア産のヒットゲームの一つ「Cult of the Lamb」 (Massive Monster/Devolver Digital)
コレクションにはレトロゲームのほかにそれを動かすためのハードも含まれますが、稼働するものを見つけそれを適切に保存していくのは簡単なことではありません。
アタリ、Vic-20、セガ、コモドール64などの古いハードは、時間の経過から部品が劣化していることが多く、またカセットやテープといった媒体についても読み取りができなくなるおそれがあり、次世代に文化を伝えるという役割を果たすには、新しいアプローチが必要になります。
NFSAのキュレーター、ジョー・マクマホン氏によると、解決のカギはデジタル化で、技術的および著作権の問題があるものの、将来的にはデータをイメージ化して保存するようになるということです。
マクマホン氏は、「私たちは今日のアクセスだけでなく、100年後、200年後のアクセスについても考えています」と述べています。
NFSAのビデオゲームカテゴリーには、これまでに集めたコレクションの中から印象的なものをピックアップしたセクションがあります。
ここでは「特攻野郎Aチーム」に出演した俳優ミスター・Tがアタリを宣伝するCMや、メガドライブを抽選で当てた若者にテレビ局が取材する映像、ゲーム中毒の問題を扱った1980年のドキュメンタリーなどが紹介されており、ゲームがその時代にどう受け止められていたのかについて知ることができます。
当時のゲーム番組とかCMも貴重な文化遺産だよね
昔のゲームを語り継いでいくのもゲーマーの使命……
References: National Film and Sound Archive,ABC News