「Alan Wake 2」 13年の年月が開発に与えた影響

ゲーム
(Remedy Entertainment)

2010年にXbox360で発売されたRemedy Entertainmentの「Alan Wake (アランウェイク)」は、妻の失踪の理由を探るべく、体力のない小説家アランが、闇に支配された田舎町ブライトフォールズの怪異に立ち向かうアクションアドベンチャーゲームです。

敵を倒すために光で闇を剥がさなければならない独特のゲーム性や、スティーブン・キングをはじめとしたモダンホラーの小説および映画などからインスパイアされたストーリーは多くのファンを獲得し、次回作に対する期待も自然と高まりました。

その後Remedyは、アクションに特化した小粒なコンテンツ「Alan Wake’s American Nightmare」を発表しますがそれ以降の展開はなく、Alan Wakeは、未だ続編が出ていない数多くの過去の名作と同様、ファンの記憶の片隅でひっそりと生きる作品になりました。

 

Alan Wakeでは懐中電灯の光が重要な役割を果たす (Credit: Remedy Entertainment)

 

RemedyはAlan Wakeの後、「Quantum Break (クォンタムブレイク)」と「Control (コントロール)」を発表します。

これらの作品には、Alan Wakeを特徴づけた「実写とゲームの融合」という要素がふんだんに散りばめられており、ファンは再び、続編に対する希望を抱き始めることになります。

そして2021年、Remedyは正式に「Alan Wake 2」を発表、ファンの願いはようやく実を結ぶ形となりました。

 

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Alan Wakeの続編は常に模索されていた

 

Remedyは、Alan Wakeの続編を全く無視していたわけではありません

脚本家およびクリエイティブディレクターで、Remedyの文字通りの顔とも言えるサム・レイク氏によれば、Alan Wakeは「常に特別なプロジェクト」でした。(レイク氏は過去の作品において度々キャラクターのモデルとして登場しています)

レイク氏は、Alan Wakeの次回作がなぜ13年もの月日を要したのかについて、“むしろそうなったことが喜びである”と語っています。

 

Remedyの開発陣は当初から、Alan Wakeの次回作を実現するアイデアを持っていたものの、タイミングが適切ではありませんでした。

その理由の多くは、当時Alan Wakeの権利を有していたマイクロソフトが、次回作に消極的だったことにあります。

レイク氏は、「アメリカンナイトメアの後、ゲームの合間に実写のエピソードを使用してストーリーを語るアイデアがあり、マイクロソフトはこれに非常に感銘を受けました。しかし次回作の開発については、それほど熱心ではありませんでした」と述べています。

レイク氏によればこの時のアイデアは、次の作品である「Quantum Break」へと引き継がれました。

 

Quantum Breakでは実写パートが多く取り入れられている (Credit: Remedy Entertainment)

 

Alan Wakeの次回作は、常にRemedy内で模索されてきました。

Quantum Breakの後、開発陣はリニアではない(一本道ではない、あるいはオープンワールド的な)Alan Wakeを作成します。

しかしオリジナルの作品が物語に比重を置いたゲームであったことから“らしくない”ということになり、このアプローチは「Control」に採用されることになります。

2019年に発売されたControlには、これまでのRemedyの作品とは異なり、プレイヤーが行き先を選択できるなどのノンリニアな要素がありました。

 

ControlのDLC「AWE」ではAlan Wakeで起きた事件が扱われる (Credit: Remedy Entertainment)

 

Alan Wakeの帰還は、ControlのDLC「AWE」で初めて仄めかされます。

「AWE」では、ブライトフォールズに閉じ込められたアランの事件が取り上げられ、近い将来のアランの再登場を予感させました。

またControlとAlan Wakeの世界が繋がっていることも明かされました。

 

2016年の「Quantum Break」と2019年の「Control」、Remedyはこの間に、オリジナルのAlan Wakeの権利を取り戻します。

そして2021年、対応機種を増やした「Alan Wake Remastered」を発売し、同年に正式な続編「Alan Wake 2」を発表しました。

 

 

RemedyはAlan Wakeからの13年で、開発期間を短縮し制作コストを下げる方法を学びましたが、この年月は決して短いものではありません。(Alan Wakeの開発には7年、Quantum Breakには5年、Controlには3年がかかっています)

しかし開発陣は、この13年こそがAlan Wake 2によい影響を与えたと考えています。

レイク氏は、「当初考えていたコンセプトがAlan Wake 2にならなくてとてもよかったと言わざるを得ません。なぜならストーリーを伝えること、そしてゲームを作るための面白い方法をたくさん見つけることができたからです。10年以上待たされましたが、スタートできて本当に嬉しいです」と述べています。

 

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Alan Wake 2ではプレイアブルキャラクターとして、主人公アランの他に、FBI捜査官サーガ・アンダーソンが登場します。

プレイヤーは2人の視点から、悪意に満ちたブライトフォールズの町で起こる出来事に対処していきます。

Alan Wake 2は2023年10月17日、Epic Games Store (PC版)、PlayStation 5、Xbox Series X|Sを対象にデジタルオンリーで発売されます。

 


 

 

せつな
せつな

アランは超人的な主人公じゃないところがいいんだ……

しぐれ
しぐれ

走り続けると息切れするのがリアルだったね~

 

Source: Remedy Entertainment