新しいPCプラットフォームであるEpic Games Storeが登場して以降、プレイヤーは好みの開発会社がどの陣営を支持するのかについて活発な意見を交わしてきました。
Steamでの供給を除外する強引ともいえるEpic Games Storeのやり方に一部のプレイヤーが猛反発するなか、日本を代表するメーカーの1つバンダイナムコは現時点でEpic Games Storeにタイトルを提供する予定がないことを明らかにしています。
これは海外メディアMCVの質問にヨーロッパのマーケティング担当者が答えたもので、それによるとバンダイナムコはEpic Games Storeを他のプラットフォームと同様に単なる1つの店舗として捉えています。
バンダイナムコのヨーロッパマーケティング担当副社長であるHerve Hoerdt氏は、Gamescom2019の開催中、MCVの取材に答え、Epic Games Storeは単なる別の1つの店舗でしかなくそこに自社タイトルを独占的に置くことに意味はないと述べました。
Hoerdt氏はEpic Games Storeを、「多くのユーザーを抱えていて素晴らしいものでありたくさんの強みがある」と評価しますが、一方で彼ら(Epic Games)の主な関心事は排他性や独占権にあり、それはバンダイナムコのビジョンとはかみ合わないとし、現時点ではEpic Games Storeに自社のゲームを置く予定がないと明言しました。
そして自分たちの焦点は消費者とブランドにあると語り、できるだけ多くのユーザーにゲームを届けることが最善の方法であるとしました。
彼らは多くの強みとユーザーを持っています。またビジネスモデルはより収益性が高く魅力的ですが、それでも彼らの関心は私が正しいとすれば独占権にあります。
Hoerdt氏は具体例として「鉄拳7」を挙げ、それをEpic Games Storeに置く意味はなく、多くのファンがコンテンツを利用できるようにするのが自分たちの戦略だと説明しています。
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
Hoerdt氏はEpic Gamesが(独占条件なしに)門戸を開くのであればそこにいかない理由はないともしていて、バンダイナムコ全体としての戦略、すなわちできるだけ多くの消費者を引きつける最善の方法を選択する、という点がクリアできれば将来的な展開も考えられるとしています。
また質問の中でHoerdt氏は、Google Stadiaを代表するストリーミング時代の到来について言及していて、ゲームの提供先が増える環境に対し慎重な投資を続けていく必要があると述べました。
バンダイナムコはStadiaに「ドラゴンボール・ゼノバース2」を提供する予定ですが、Hoerdt氏によればこれはストリーミングゲームの未来を占うための賭けであり、市場やプレイヤーがどのような反応をするのかを見極めるための投資でもあるということです。
バンダイナムコのこうしたある種の慎重さは、元々が日本の会社である、という部分も大きく影響していそうです。
Hoerdt氏は会社を「日本人はリスクを嫌うわけではないが非常にゆっくりと進む」と表現していて、それが昨今の激しい動きをするゲーム業界から一定の距離を保っている理由であると説明しました。
Epicの独占タイトル獲得の是非はどうあれ、多くのプラットフォームにゲームを届けようとするバンダイナムコの姿勢がユーザーの選択肢を広げているのは確かです。
Source:MCV