複数の海外ゲームメディアは、マイクロソフトが次世代のコンソールの開発を着々と進めていると報告しています。
すでに知られているように、マイクロソフトは“Scarlett”(スカーレット)と呼ばれるコードネームのもと、次世代コンソールを開発しているとされています。
PS4やXbox Oneなどの今世代が登場してから5年がたち、サイクル的にはそろそろ次のハードが出てきてもおかしくない時期です。
一方この5年間でハードやゲームを取り巻く環境は様変わりしました。
コンソール以外にも、モバイルゲームや定額のゲームサービスなどが普及し始めており、新ハードを発売する意義について意見が交わされることも多くなっています。
今世代でソニーのPS4に大きく水をあけられたマイクロソフト陣営は、次世代のコンソールでどんな巻き返しを狙っているのでしょうか。
次世代へとつなぐ“S”と“X”
© Microsoft 2018
マイクロソフト全般の情報を扱う海外メディアWindows Centralは、Xboxの次世代機について触れ、「S-2」と「X-2」と呼ばれる開発キットが既に存在していることを報告しています。
このアルファベットは今世代機である、Xbox One SとXbox One Xから来ていると推定されており、開発キットはそれぞれ「ロックハート(Lockhart)」と「アナコンダ(Anaconda)」という名で呼ばれています。
Windows Centralは詳しいスペックについてはまだ不明としながらも、スカーレット世代は現世代からよりグレードアップしたものになるだろうと予想しています。
予想が正しければ、ロックハートは現行のXbox One Xと同等かそれ以上、アナコンダはそれよりもさらにスペックを強化した上位バージョンになります。
また両機種ともに後方互換性を備えているとされています。
次世代機スカーレットの戦略はXbox Oneの失敗がヒント
マイクロソフトの次世代機を含むゲーム事業は、Xboxのトップであるフィル・スペンサー氏の完全な指揮のもとで動いています。
Xbox Oneの発表時、マイクロソフトはDRM(デジタル著作権管理)を導入しようとして激しい非難を浴びました。
また当時推していたキネクトを標準装備するかわりに肝心のスペックを落とすという失態を犯し、PS4に販売台数で大きく水をあけられました。
そうした苦い経験から、次世代機であるスカーレットにはスペンサー氏が徹頭徹尾関わり、チームが統一した動きをとれるような体制ができあがっています。
Xbox Oneの世代で失ったユーザーを取り戻すには、高性能のハードを用意するだけでは不十分です。
マイクロソフトは今年6つのスタジオを買収し、新たに1つのスタジオも設立しました。
そして「xCloud」と呼ばれる新たなストリーミングサービスにも着手しました。
これはクラウドを利用することで、携帯やタブレットなど、コンソール以外のデバイスでもゲームをプレイできるようにするサービスです。
また障害者のための多目的コントローラーである「Xbox Adaptive Controller」を発売し、より多くの人がゲームをプレイできる機会を提供しました。
さらには定額制サービス「Xbox Game Pass」で最新作をプレイできる選択肢も増やしています。
新世代のコンソールは、ユーザーにゲームを届けるための手段の一つでしかありません。
マイクロソフトはかつてのような、高スペックのハードを数年ごとに発売しユーザーを奪い合うという戦略から離れようとしています。
XboxとPCとの連携、GameCore(ゲームコア)
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マイクロソフトは現在、「GameCore(ゲームコア)」と呼ばれる新しいゲームプラットフォームの開発に取り組んでいます。
これはXboxのゲームをPC(Windows)上でも円滑にプレイできるようにするためのもので、ゲーム開発者は移植やクロスプレイに伴う負担を軽減することができます。
GameCoreに対応したゲームはロックハートやアナコンダはもちろん、PCやxCloud経由のストリーミングプレイにも対応します。
またマイクロソフトはモバイルでのゲームプレイを最適化するために、Razerなどのアクセサリーベンダーとも協力しています。
マイクロソフトとソニーの次世代機ともに、発売日や詳細なスペックについてはまだ情報が出てきていません。
多くの業界関係者は、次世代機の発売が2020年のホリデーシーズンになると予想しています。
Reference:Windows Central