イギリスの国民保険サービス(NHS)が2019年12月に開設したビデオゲーム中毒者のためのクリニックについて、医院の創設者であるヘンリエッタ・ボウデン・ジョーンズ博士がインタビューに答え、これまでに43人が治療を希望し、そのうち22人が実際に病院で治療を受けたと明かしました。
イギリスのテレビ番組「This Morning」に出演したジョーンズ博士は、患者のうちの数人はまだ治療を続けているが、この数は当初予定していたものよりもかなり少ないとし、このままの患者数で推移することが望ましいと語りました。
患者のほとんどは10代の少年であり、彼らは幼少期に「両親に対して親切であった」一方、現在はときに「攻撃的で暴力的になる」傾向がありました。
ジョーンズ博士は、ゲームへの依存は、深刻な不安や学校でのいじめ、低い自尊心、自閉症スペクトラム障害など他の要因と絡み合っている場合があり、その人の健康や感情および心理的な幸福、そして経済面に打撃を与えるとしながらも、これがビデオゲームをプレイする全ての人に当てはまるわけではないと強調しました。
そして問題の本質は、ゲームに夢中になることで成績が悪くなったり、ネガティブな感情を抱くようになることだと指摘したうえで、それはごく少数の人に限られる症状であり、正しい方法を使えばうまく治療することができると話しました。
クリニックでの治療は薬を使わず、行動療法によって行われます。
博士は、ゲーム中毒は「行動中毒」であるとし、治療は“行動を断つ”やり方ではなく、ゲームを低いレベルでコントロールし、社会的な交流を維持する方法で行われると説明しています。
NHSのゲーム中毒者のためのクリニックは、WHO(世界保健機関)が昨年、ゲーム依存を正式に病気と認定したことを受けて開設されました。
イギリスは近年、ゲームが若い世代に及ぼす影響について敏感になっており、ゲーム依存だけでなくルートボックス問題についても国を挙げて取り組んでいます。
また国内にあるゲーム開発会社に対し、問題解決のための資金を提供するなどの行動をとるよう求めています。
ゲーム依存についてはもっと広く議論されるべき……
気軽に相談できる専門家が増えるようになるといいね
Source: gamesindustry.biz