90年代初頭、ソニーはPlayStationを発売する前に、任天堂と共同でゲーム機を開発していました。
SNES-CD、または「任天堂プレイステーション」という名で知られるハードは、その後の両者の方向性の違いから世に出ることはありませんでした。
任天堂プレイステーションは、スーパーファミコンのカートリッジにCD-ROMが加わったハードで、本体やコントローラーには、後のPlayStationで正式に採用される「PlayStation」のロゴが表記されています。
任天堂プレイステーションには数百のプロトタイプがあるとされてきましたが、これまで長い間、その実物について確信のもてる情報がないままでした。
しかし2015年になってある人物が画像や映像をアップロードしたことで、任天堂プレイステーションの存在が真実であることが確認されました。
(SNES-based PlayStation prototype/Paquitogio/CC0/Wikimedia)
任天堂プレイステーションはその後、テリー・ディーボルド氏がオークションで入手し、世界中のゲームファンに“お披露目”するために各地を巡る旅に出ました。
しかしディーボルド氏にとって残念なことに、レアなハードへの人々の関心は、決してお金には結び付きませんでした。
ディーボルド氏は、世界ツアーによる出費が自費であること、そして貴重な未発売ハードを他人に見せたとしてもお金にはならなかったことなどを理由に、今回任天堂プレイステーションをオークションにかけることにしました。
Image: Heritage Auctions
米国のヘリテージ・オークションズによると、このハードがオークションに登場するのは初めてです。
委託ディレクターのヴァレリー・マクレキー氏は、「任天堂とソニーは間違いなく今日のビデオゲーム界の最大の競争相手です」と話しつつも、「任天堂プレイステーションに二つの会社のロゴが描かれていることにはとても困惑させられる」と、その複雑な心境を明かしました。
マクレキー氏はこのハードがどれだけの値をつけるのかはわからないとしていて、市場がその価値を決定する必要があると述べています。
オークションは2020年の2月27日から開催される予定です。
先日ディーボルド氏の元に、ノルウェー人から任天堂プレイステーションを120万ドルで買いたいというオファーが入りました。
しかし同氏はそれを(主に経済的な理由から)断っています。
マクレキー氏はこの話を受け、任天堂プレイステーションのオークションでの価格は、衝撃的なものになるだろうという予測を立てています。
ヘリテージ・オークションズは2019年2月からビデオゲーム関連のオークションを開始しました。
最近ではメガマン(ロックマン)の未開封パッケージが75,000ドルで落札されたり、「バブルボブル2」や「スーパーマリオブラザーズ」、「ゼルダの伝説」などのゲームが2万ドル近い価格で落札されています。
ゲームオークションは、ゲームソフトや関連商品を格付けするWata Gamesなどの専門サービスの出現によりこれからますます活況を呈していく可能性があります。
任天堂プレイステーションのオークションへの出品は、ゲームオークションの新たな時代を切り開く嚆矢となるかもしれません。
References: Polygon