イギリスの国民保険サービス(NHS)が、ゲーム中毒者のための専門クリニックを開設すると発表しています。
NHSの声明によると治療の対象となるのは13~25歳までのゲーム中毒者で、クリニックの開設は、長時間のゲームプレイによって通常の生活がままならない若者を支援することが目的です。
新しいゲーム中毒のための専門クリニックは、インターネット中毒やギャンブル依存症を治療するための施設と併設される予定で、専門家を紹介された患者は、Skypeを通してオンラインで相談することもできるようになります。
ゲーム専門クリニックの開設は家族や愛する人たちにとっても救いとなる
NHSの最高経営責任者であるサイモン・スティーブンス氏は、今回のゲーム中毒者のためのクリニックの開設に関し次のように述べます。
健康ニーズは常に変化しているため、NHSは決して立ち止まるわけにはいきません。この新しいサービスは、子供や若者が最近になって直面している新たな問題への対応策です。
今年の5月、WHO(世界保健機関)は、ゲームをし過ぎることで日常生活に支障をきたすような行動を正式に「ゲーム障害」と認定しました。
WHOは、ゲーム障害は学業や仕事への優先度を低下させ、また社会や他者との関わりを希薄にし経済的なリスクを生むと指摘しています。
ゲーム中毒に関する問題の一つは、本人に自覚があってもやめることができない点です。
そのため専門的なクリニックの開設は、患者に振り回されている家族や関係者にとって救いとなる可能性があります。
英国王立精神科医学会の行動中毒に関する広報担当者、ヘンリエッタ・ボウデン・ジョーンズ博士は、ゲーム障害は患者だけでなく、その家族や愛する人にとっても生活を乱す要因となる精神疾患であると述べます。
ゲーム障害は軽く考えていい精神疾患ではありません。コンピューターゲームに12時間も費やすような行動は、社会的に孤立し職を失うことにつながります。
博士はかねてからゲーム中毒の若者を支援する方法を探っており、今回NHSが専門のクリニックを開設したことを高く評価し謝意を述べています。
そして「クリニックの開設は最終的に何千人という子供や若者を救うことになる」と話し、その効果に大きな期待を寄せました。
ゲーム中毒の問題には企業も関わるべき
photo by Matthew Henry on BURST
ゲーム中毒に関してはイギリスだけでなく世界中の国々が問題に対処するべくいくつかの試みをしています。
例えば韓国では、16歳未満の若者は深夜から午前6時までの間オンラインゲームをプレイすることができません。
また中国の企業Tencentも子供たちのゲームプレイにいくつかの時間制限を設けています。
しかしこうした取り組みは、企業や政府を含む推進団体との間に、ある種の緩い合意点ができやすく、実際に若者をゲーム中毒から遠ざける結果につながっているのかは疑わしい部分もあります。
この点に対しNHSのスティーブンスCEOは、ゲーム企業やギャンブルまたはインターネット企業に対し、問題解決のための資金提供をするよう呼びかけています。
何百万ポンドもの利益を上げているオンラインゲーム企業は株主に対して還元するだけでなく、医療サービスの負担を減らすための方法も導入するべきです。
スティーブンスCEOは、NHSの予算のほとんどが税金で賄われており、新しい病気や問題に適応していくためには納税者の負担だけでは足りないと指摘し、ゲーム企業の精神衛生分野への資金提供の必要性を改めて強調しました。
ある名人が言ってたけど、やっぱりゲームは一日一時間くらいが一番いいのかもね
でもやりだすといつのまにか時間が過ぎている……ゲームこわい……
References:NHS,The Guardian