インドの月探査船「チャンドラヤーン2号(Chandrayaan-2)」は9月に月の軌道に到達した後、月面に向けて着陸船「ヴィクラム(Vikram)」を投下しました。
ヴィクラムを月面に到着させることがてきれば、アメリカ、ロシア(旧ソ連)、中国に続く4番目の月面に人工物を送り込んだ国として認定されるはずでした。
しかし多くの国民が見守る中、ヴィクラムの信号は月面到着寸前で途切れてしまい、着陸は失敗に終わりました。
その後NASAなどの協力により、ヴィクラムの姿を月面に確認しようとする試みが行われてきました。
9月下旬にNASAの月周回衛星ルナー・リコネサンス・オービター(LRO-Lunar Reconnaissance Orbiter)のカメラチームは、ヴィクラムの着陸予定付近の月面を撮影した画像を公表しました。
その画像データは世界中からダウンロードされ、ヴィクラムの痕跡を見出そうと多くの人が解析を試みました。
先日NASAはツイッターへの投稿で、ヴィクラムの残骸を発見したことを明らかにしています。
そこには一人のインド人の協力がありました。
The #Chandrayaan2 Vikram lander has been found by our @NASAMoon mission, the Lunar Reconnaissance Orbiter. See the first mosaic of the impact site https://t.co/GA3JspCNuh pic.twitter.com/jaW5a63sAf
— NASA (@NASA) December 2, 2019
インドのエンジニアであるシャンムガ・スブラマニアンさんは、LROの画像を入手し、ヴィクラムが月面に衝突する以前の画像と比較しました。
2台のラップトップを使った分析によって、ヴィクラムが衝突したとみられる地点から北西750メートルの地点に残骸があることがわかり、それをNASAに知らせたところ、残骸がヴィクラムのものであることが判明しました。
NASAは、ヴィクラムの発見にはスブラマニアンさんの協力があったと書き、彼の努力を祝福しました。
スブラマニアンさんはメディアに対し「常に宇宙科学に情熱をもっていた」と打ち明け、ヴィクラムの発見はかなり大変だったが努力をした結果によるものだと語っています。
チャンドラヤーン2号は、NASAなどの国家的プロジェクトの宇宙開発にかかる費用と比べると、非常に安価に作られた宇宙船です。(ハリウッド映画アベンジャーズ・エンドゲームの制作費の約半分!)
チャンドラヤーンは3号の計画もあり、またインドは近い将来有人の月面探査にも野望を抱いています。
宇宙開発の後進国であるインドの月への挑戦と安価な運用は、今後の宇宙事業のあり方を変える可能性を秘めたものです。
現在NASA以外にも多くの機関や国が月を重要な拠点とみなし始めているため、チャンドラヤーン2号のような安価な宇宙船は今後一層評価されるようになるでしょう。

月面着陸に失敗したのは残念だけど残骸が見つかったのはよかったね

見つけたのがインド人というのも感慨深いものがあるな
References:BBC