気候変動に対して様々な業種が新たな取り組みを始めているなか、作品によっては大量のパッケージを消費することになるゲーム業界でも少しずつ環境問題を意識した動きが出始めています。
PCで展開しているセガのサッカークラブ運営シミュレーション「Football Manager(フットボールマネージャー)」の最新作は、パッケージをより環境に優しいものにすることで最大20トンものプラスチックを削減する予定です。
開発会社であるSports Interactiveのスタジオディレクター、マイルズ・ジェイコブソン氏はプラスチックによる環境汚染は切実な問題であるとし、今回のケースを通じてゲーム業界が環境問題に対して取り組み始めることを願っています。
最大20トンのプラスチック削減、“地球の未来のために”コスト増分はメーカーが負担
11月に発売される「Football Manager 2020」は、リサイクル可能な低密度ポリエチレンでの包装、100%リサイクル素材の段ボール、100%再生紙で作られたマニュアル、そして植物性の水性インクを使った印刷と、パッケージの全てがエコを意識した作りとなっています。
セガによると1つのパッケージにつき約55グラムのプラスチックが削減され、ゲームの売り上げ予測から合計で最大20トンのプラスチックが節約されるということです。
ジェイコブソン氏は気候変動を無視できない問題の1つであると語ります。
今のところそれを解決するための特効薬はありません。しかし科学の結果から、個人または企業にはそれを減速あるいは逆転させるためにできることがあります。
ジェイコブソン氏は二酸化炭素の排出量を削減することは世界規模の課題であるとし、ゲーム業界を含むエンターテインメント業界にもにするべきことがあると強調しました。
今回パッケージのプラスチック削減が可能となった背景には、材料の調達を行うサプライヤー会社とセガとの協力が欠かせませんでした。
Sports Interactiveは他のゲームメーカーがプラスチック削減を行う際の手助けとなるように、今後協力的なサプライヤーの情報を共有するつもりだとしています。
会社にとって今回のプラスチック削減パッケージは従来の製品よりも高コストになります。
ジェイコブソン氏によると新しいパッケージは約30%のコスト増ですが、これは値段には反映されません。
このコスト増分に対しジェイコブソン氏は「地球の未来を守るために払う価値がある」と述べ、パッケージのプラスチック削減だけでなく、例えば長時間のゲームプレイで消費される電力をグリーンエネルギーへ切り替えることなど、業界やプレイヤーが環境への影響を減らすためにできることが他にもあると語りました。
現在Sports Interactiveは二酸化炭素の排出を相殺するための植樹運動や、サーバールームでのグリーンエネルギー(再生可能エネルギー)の使用などを通じて、気候変動に対処する慈善団体とのプロジェクトに取り組んでいます。
ジェイコブソン氏は活動に関する詳細情報を公開する予定で、それが他のゲーム会社やプレイヤーたちの二酸化炭素削減のための具体的な行動の指針になることを望んでいます。
Sports Interactiveは過去に“あまりに馬鹿げた大きさのPCゲームのパッケージ”を廃止し、単なるDVDケースを採用したという実績を持っています。
今回のFootball Managerでのプラスチック削減は、ゲーム業界が気候変動の問題に取り組むきっかけを作ることになるかもしれません。
Football Manager 2020はPCを対象に2019年11月に発売予定となっています。
Source:gamesindustry.biz