アメリカのゲーム業界団体ESA(エンターテインメントソフトウェア協会)はFTC(アメリカ連邦取引委員会)が主催するワークショップで、ルートボックスに関する新たな取り組みについて発表しました。
ESAは昨今問題視されているルートボックスに対する具体的対策として、ランダム要素を含むアイテムを購入しようとする際には明確な確率の表示を義務づけることを決め、2020年内の実装をめどに各ゲームメーカーに要請を出しています。
ESAの技術ポリシー部門の主任弁護士Michael Warnecke氏は、ルートボックスの確率表示義務について次のように語りました。
(このルールは)具体的にはルートボックス機能を有する新しいゲームと過去のゲームの更新の際に適用され、ランダム化された仮想アイテムを取得する際の確率の開示が必要となります。
ルートボックスはゲーム内のアイテムをランダムで入手できる、いわゆる有料の“ガチャ”のことで、日本だけでなく海外においても多くのメーカーが採用している収益モデルの一つです。
しかし子供たちや経済的に余裕のない人が欲しいアイテムを得るために際限なく課金する例が後を絶たず、保護者や消費者団体はゲーム業界に対し改善を求めてきました。
ESAはウェブサイトに載せた声明で、「業界はこの問題に対して自分たちの役割を真剣に受け止めている」と述べ、コミュニティや政策立案者、保護者などと連携し、ポジティブなゲーム体験を提供できるように情報を共有していく決意を明らかにしました。
またルートボックスに関して確率の明記を義務づけるという方針以外にも、子供たちの消費を管理するための“堅牢なペアレンタルコントロール”を作成するために業界が取り組んでいることも付け加えました。
このルートボックスに関するESAの発表を受けて、主要なプラットフォームホルダーである、ソニー、マイクロソフト、任天堂も新しいポリシーの作成に取り組み協力すると発表しました。
また3ハードメーカーだけでなく、多くのゲームパブリッシャーもこの動きに賛同しています。
ESAのリストによると、アクティビジョンブリザード、バンダイナムコ、ベセスダ、バンジー、エレクトロニックアーツ、テイクツー、ユービーアイソフト、ワーナーブラザース、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストなどが、新たに発売されるゲームについてルートボックスの確率表記を義務づけることに同意しています。
この新しいルートボックスのルールは今後発売されるゲームに採用され、過去のゲームについては、各メーカーが自主的にアップデートした場合にのみ適用されるということです。
ルールの適用時期については、ハードメーカーが2020年内中、各パブリッシャーは2020年末までをめどに達成したいとしています。
一部の政治家たちはルートボックスをギャンブルだとみなしていて、それに反発するゲーム業界と激しい意見を戦わせてきました。
ESAはルートボックスをギャンブルだとする批判に一貫して反対の立場をとっており、今回の決定も、ルートボックス問題に政府が介入するのではなく、業界が自己規制することで改善を図ることができるとアピールする狙いがあると考えられます。
ゲームを楽しくする方法の一つとしてルートボックスが存在する一方で、実態のないデータに多額のお金をつぎ込んでしまうという問題があります。
はたして今回のESAの決定は、ルートボックスのネガティブなイメージを払拭することにつながるのでしょうか。
Source:ESA