「シムシティ」シリーズを開発したアメリカのゲーム開発会社Maxis(マクシス)の未発表の作品が発掘されています。
「SimRefinery」という名のゲームは、大手石油関連会社シェブロンがMaxisに制作を依頼したもので、石油精製所がどういう仕組みで成り立っているのかを従業員に教えるために作られました。
(Refineryは製油所のこと)
SimRefineryは、ゲームの歴史家であるフィル・サルバドール氏が今年の5月に書いた記事で注目を集めましたが、この時点では実際のゲームのコピーは存在していませんでした。
その後SimRefineryは、科学系の記事を扱うArs Technicaで紹介され、偶然にも一人の読者の友人が過去にシェブロンで働いていたことから、ゲームが世に出ることになりました。
ゲームはシムシティのような構成をしているものの、遊ぶためではなく、石油の精製がいかに危険なものなのかを従業員が理解できるように設計されています。
3.5インチフロッピーディスクから復元されたゲームは不完全であり、またシムシティほどのゲーム性もありません。
しかし製油所のメカニズムはうまくゲームの中で表現されており、例えば施設の一部を破壊すると、その影響が他の施設にも及び大きな事故につながるなど、従業員に仕事の危険性を認識させるには十分な出来となっています。
残念ながらSimRefineryは、シェブロンが期待していたほどの成果を得ることは出来ませんでした。
従業員にとって製油所の仕事は、ゲームで学ぶものではありませんでした。
サルバドール氏は、「SimRefineryは、カリフォルニアの製油所のために作られた、一回限りの失敗したトレーニングプログラムだった」と述べています。
※SimRefineryはインターネットアーカイブで公開されていましたが、現在、配布は終了しています。
References: The Obscuritory,Ars Technica