エジプトのカイロ空港の職員はベルギー向けに輸出される製品の中からミイラの一部を発見しました。
これは2月24日にエジプト考古省が発表したもので、それによると輸出向け製品のうちの1つであるスピーカーをX線で調べたところ中からミイラのものとみられる複数の遺体の一部を見つけたものです。
考古省によると回収された遺体は、胴体部分、腕、左手の一部、2つの足で、2体分のミイラのものと推測されています。
Image:Ministry of Antiquities
空港職員がスピーカーの中の遺体を取り出したあと考古学者による調査が行われ、これが正式に遺跡から持ち出されたミイラであることが判明しました。
回収されたミイラは修復作業のためカイロのエジプト考古学博物館に持ち込まれたということです。
考古省はエジプトの古代遺産の保護と保全のために設立された中央省庁です。
法律ではエジプトに由来する全ての古代遺物は国家の財産であるとみなされています。
また歴史的、考古学的価値を持つ遺産の私有を固く禁じています。
当局の許可になしにそれを行った者には最高2年の懲役刑と罰金が科されるということです。
2011年に考古省が発足した背景にはエジプトの財産でもある古代の遺物が海外に流出するのを防ぐ目的がありました。
エジプトからの遺物の略奪は2011年以来劇的に増加しています。
衛星画像による1000を超える遺跡の調査では、2002年から2013年までの間に多くの遺跡で略奪が起きたことが判明しています。
研究者によるとこれは2009年頃から始まった世界規模の経済危機が影響していて、略奪による被害はその後の国内の動乱などでさらに広がりました。
最新の報告では2016年に推定で5000万ドル相当の遺物が違法にアメリカに持ち出されたとされ、これは過去20年間で最も大きい被害額になったということです。
考古省によるとカイロ空港には遺物の海外への流出を防ぐために特別な考古学知識を持ったチームが常駐しています。
今回は未然に防ぐことができましたが悪いことをする人たちのアイデアは尽きることがありません。
今後も驚きの手口で遺物を持ち出そうとする悪い人たちが出てくることでしょう。
人類の貴重な遺産を目先の利益のために冒涜するのは悲しいことです。
考古省や関係者の皆さんの一層の活躍を願います。
Source:LiveScience,Twitter