イギリスの研究者は、川の周辺に生息し水中の昆虫や小魚を主食とするカワガラスの糞やペレットを調査した結果、そのほとんどにプラスチックが存在していたと報告しています。
自然界にあるプラスチックは、時間とともに生物に取り込まれることがわかっていますが、食物連鎖を通して種から種へと移動するという証拠はほとんどありません。
カワガラスが排出したものからプラスチックが発見されたという事実は、プラスチックによる川の汚染が、その場所だけにとどまらないことを示しています。
カワガラスは水中の昆虫からマイクロプラスチックを吸収している
英国カーディフ大学とエクセター大学の科学者グループは、国内の15の河川の周辺地域で、ムナジロカワガラスの糞やペレットを調査しています。
(※ペレットは鳥が定期的に吐き出す消化できなかった胃の内容物のこと)
以前の調査では、ウェールズ南部の川に生息している昆虫のほぼ半分の体内に、マイクロプラスチックが存在していたことが明らかになっています。
研究の目的は、それらのマイクロプラスチックが、食物連鎖を通して上位捕食者に移動するかどうかを知ることにありました。
水中の昆虫や小魚を主食とするムナジロカワガラス (Frank Vassen/Flickr)
集められたサンプルを分析した結果、全ての地域のペレットの50%と糞の45%に、マイクロプラスチックが含まれていたことがわかりました。
プラスチックの95%以上は繊維に由来しており、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの複数のポリマーが特定されました。
またサンプルのプラスチック汚染の濃度は、都市部に近くなるほど高くなりました。
研究者は、必要エネルギーと獲物および排泄のモデルから、ムナジロカワガラスが摂取する1日のマイクロプロプラスチックの量は、約200個になると試算しています。
研究者の一人でカーディフ大学の生物科学部の教授スティーブ・オーメロッド氏は、「ムナジロカワガラスは毎日何百ものプラスチック片を摂取している」と述べ、これは雛の体にもプラスチックが移動していることを意味していると付け加えています。
今回の調査結果は、プラスチックが淡水域の食物連鎖を通じて、他の種に伝播していることを示す強力な証拠です。
研究の著者の一人であるカーディフ大学のジョセフ・デソーザ博士は、「非常に多くの川の昆虫が汚染されているため、魚、鳥、およびその他の捕食者はこれらの獲物をとることを避けられない」と述べています。
研究結果はGlobal Change Biologyに掲載されました。
ムナジロカワガラスは気づかずにプラスチックを摂取してるんだよ
川のプラスチックは最終的に海まで汚染してしまう……
References: BBC