2100年までに消滅する世界のサンゴ礁、今後20年でも70~90%が白化するとの予測

自然
(marcelokato/Pixabay)

ハワイの科学者グループは、2月に米国カリフォルニア州サンディエゴで開催された「Ocean Sciences Meeting」で最新の調査結果を発表し、2100年までに、既存のサンゴの生息地の全てがなくなる可能性があると警告しました。

科学者は今後20年間でサンゴ礁の70~90%が消滅すると予測し、それらは温暖化や酸性化した海、汚染などによって引き起こされると説明しています。

研究者の一人であるハワイ大学マノア校の生物地理学者ルネ・セッター(Renee Setter)氏はサンゴ礁について、「2100年までには非常に厳しい状態になる」と指摘し、死滅を防ぐためには気候変動との戦いが不可欠であると強調しました。

 

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2100年までに世界のサンゴ礁は消滅する

 

研究では、海水温度や波のエネルギー、水の酸性度や汚染の度合いなどの複数の海洋環境条件と、人口密度や土地の被覆、周辺の水域に放出される廃棄物の量などの条件とを掛け合わせ、サンゴの分布が将来にわたってどう変化していくのかをシミュレートしました。

その結果、現在サンゴ礁の存在している海域の大部分が、2045年までに適切な生息地として機能しなくなり、そのほかの海域も2100年までにはサンゴの住めない場所に変わることがわかりました。

研究者は、サンゴ礁の生息地の減少は気温の上昇と海洋の酸性化が主な原因であるとし、また人間の影響については大きな問題ではあるが、既にサンゴに多大な損害を与えているため、それは脅威の一部でしかないと指摘しました。

セッター氏は、「ビーチをきれいにするのは素晴らしいことであり、その努力は続けるべきだ」とする一方で、「結局のところ、サンゴを保護するには複合的なストレス要因を回避しなければならない」と述べ、取り組まなければならない課題の多さに目を向けるよう促しました。

 

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海水の温度が上昇すると、サンゴ礁に付着している「共生藻 (きょうせいそう)」と呼ばれる藻が高温に耐えられなくなり離れていきます。

サンゴは藻から栄養を得るため、共生藻がいなくなるとやせ衰えて白化し、最終的には死滅します。

白化したサンゴは“まだ”死んではいないものの、この状態のサンゴを回復させるのは容易なことではありません。

ここ数年の海水温の上昇は、グレートバリアリーフを筆頭に世界のサンゴ礁を白化させています。

一部の科学者や環境活動家は白化したサンゴを救うため、実験室で育てた健康なサンゴを海に戻す活動を行っていますが、セッター氏たち研究者は、こうした努力が実るよりも気候変動によって白化が進むスピードのほうが速いだろうと指摘しています。

 


 

 

かなで
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サンゴ礁が作る生態系は多くの人のタンパク源にもなってるんだよ

しぐれ
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サンゴ礁がなくなるといろんなところに影響が出てきてしまうんだね

 

References: Advancing Earth and space science