昼食を食べた後に襲ってくる眠気……このまま全てを放り出して横になりたい!毎日こんな気持ちになったとしてもそれは人として正常な反応です。
こんなとき眠気覚ましにコーヒーを飲んでも解決しません。
だったらいっそのこと寝てしまえばいいのでは?――数々の睡眠に関する研究結果は昼寝が有益であることを示しています。
大人だって昼寝していい――昼寝の持つ素晴らしい効果
小さい子供は寝るのが仕事です。
彼らは4歳から5歳頃まで積極的に昼寝をします。
脳や身体の成長のために睡眠は欠かせない活動ですが、それは子供だけに与えられた特権ではありません。
成人でさえ昼寝には大きな利益があります。
昼寝をするとどんな得があるのか少し見ていきましょう。
記憶力がよくなる
シンガポールのDuke-NUS Medical Schoolの研究者たちは、試験の前に昼寝をすることが勉強をするのと同じくらい有益であることを実験で証明しました。
研究チームは72人のボランティアに12種類のアリとカニについての情報を記憶してもらいました。
覚える内容には食事や生息地などあらゆることが含まれています。
この後グループは映画を見る、昼寝をする、さらに勉強する、という3つに分けられました。
1時間後全員が再びアリとカニについて学んだあと360の質問に答えました。
その結果最も高いスコアを出したのは途中で昼寝をしたグループでした。
研究者たちは睡眠がその日学んだことを理解するのを助けていると結論づけています。
この研究結果は、長時間知識を詰め込むよりも途中で脳に休憩を与えることが結果的に記憶力の向上につながることを明らかにしています。
また別の研究者は昼寝をウェイトリフティングに例えていて、重い物を持ち上げることで筋肉が強まるのと同じように眠ることで記憶力が高まると述べています。
Googleなど一部の企業では最近昼寝を積極的に取り入れています。
従業員の疲労回復だけでなく頭をスッキリさせるという意味でとてもいい(そしてうらやましい)取り組みです。
血圧を下げる効果がある
ギリシャにあるAsklepieion General Hospitalの心臓専門医であるManolis Kallistratos医学博士は、昼寝には血圧を下げる効果があると述べています。
博士が行った研究によると、昼寝をするごとに最高血圧が平均3mmHg低下することがわかりました。
低用量の血圧薬を服用すると平均5〜7mmHg血圧が下がるのと比較しても、昼寝には絶大な効果があることがわかります。
博士は2mmHg血圧が下がることで心臓発作などの心血管リスクを最大10%減らすことができると述べています。
昼寝は注意力を取り戻す
NASAが軍事パイロットや宇宙飛行士を対象に行った実験によると、40分間の昼寝でパフォーマンスが34%、注意力が100%向上したことがわかりました。
長時間運転しているドライバーなどは勤務状況によってぎりぎりの睡眠時間しかとっていない場合があります。
注意力が低下すると判断が鈍り重大な事故につながるおそれがあることを考えると、眠気がある場合には無理せず身体を休ませたほうがよいでしょう。
昼寝は疲労を軽減する
2009年に行われた航空管制官を対象にした研究では、40分間の昼寝が彼らの疲れた脳を復活させより警戒的になったことで仕事の効率がアップしたことがわかりました。
人の命に間接的に関わる重大な仕事をしている人たちはちょっとのミスさえ許されません。
昼寝をすることで頭がリフレッシュし疲労が回復するならば事故を防ぐことにつながります。
昼寝がもたらす効果についていくつかみてきました。
ヨーロッパの国ではシエスタとよばれる昼寝時間が文化として定着しています。
また先に挙げたGoogleなどの企業も昼寝の効果を認め実践しています。
これは単なるブームだからというわけでなく、昼寝が生産性の向上につながるということに人々が気付き始めた結果です。
昼寝だからといって1時間も2時間も寝るのではなく10分や20分目を閉じるだけでも頭がすっきりしてきます。
日本で昼寝の習慣を取り入れるのはなかなか難しいかもしれませんが、何かとストレスの多い現代社会、ちょっとした休憩を取り入れるというのも悪くないのではないのでしょうか。
References:mnn