アメリカの研究グループは植物をベースにした代替乳、いわゆる植物性ミルクについて、含まれる成分が必ずしも牛乳と同等ではない、とする分析結果を発表しました。
大豆やアーモンドなどの植物を原料とした植物性ミルクの人気は年々高まっており、多くの人が牛乳の代替品として日常的に摂取しています。
しかしこれらの製品は牛乳と全く同じというわけではなく、特定の栄養素に関しては、少ないかあるいはほとんど含まれていないことがあります。
植物性ミルクを健康のために飲むのであれば、その成分についてよく知っておく必要があります。
植物性ミルクと牛乳の違い
米国ミネソタ大学の栄養専門家からなる研究グループは、環境や健康面で注目されるようになった植物性ミルクについて人々に理解してもらうため、市販されている200以上の製品を分析しました。
牛乳はタンパク質やカルシウムといった栄養素を多く含んでおり、健康を増進する目的で広く飲まれています。
一方、植物性ミルクは原料によって成分に違いがあり、製造過程で添加物が加わるなど、商品ごとに栄養素のばらつきが見られます。
分析では、アメリカで販売されている23社の植物性ミルク233種が対象になり、原料で分類された後、それぞれの成分について牛乳との比較が行われました。
これらの商品のうち、およそ3分の2が、アーモンド、オーツ麦、大豆を主な原料としています。
分析の結果、重要栄養素であるタンパク質、カルシウム、ビタミンDを牛乳と同じレベルで含んでいた製品は28種だけであることがわかりました。
全体的に見た場合、約半数の製品がビタミンDを、3分の2がカルシウムをそれぞれ強化していました。(牛乳には元々ビタミンDがほとんど含まれていません)
また約20%の製品が、牛乳と同量のタンパク質を含んでいました。
原料別では、オーツ麦ベースの製品の76%、大豆ベースの製品の69%、アーモンドベースの製品の66%が、カルシウムとビタミンを牛乳並みに調整していました。
これらの結果は、植物性ミルクが牛乳と全く同じではない一方で、健康を助ける補助的な飲み物としては、依然、有効な選択肢であることを示唆しています。
米国栄養学会の年次総会「Nutrition 2023」で研究結果を発表した、ミネソタ大学の栄養学助教授であるアビゲイル・ジョンソン氏は、「私たちの結果は、多くの植物性ミルクが、栄養的に牛乳と同等ではないという証拠を提供するものです。これに基づくならば、消費者は牛乳の代替品として、カルシウムとビタミンDが含まれる製品を探す必要があります」と述べています。
植物性ミルクは牛乳の完璧な代替品にはなりませんが、牛乳にはない利点もあります。
例えば繊維を取りたい場合、植物性ミルクは牛乳よりも適しています。
またカロリーやコレステロールを気にする人は、様々な商品の中から目的にあったものを見つけることができるでしょう。
そして気候変動を懸念する人は、植物性ミルクを摂取することで、地球の健康維持に貢献できます。
ジョンソン氏は、「重要なポイントは、特定の栄養素のためにこれらを摂取するのであれば、ラベルをよく読む必要があるということです」と述べています。
植物性ミルクにはカロリーが高いものもあるから、成分を確認するのは大事だね
ビタミンDは日光を浴びると体の中で作られるよ
References: The Independent,CNN