スイスは、戦争や災害時の備蓄食品のリストから「コーヒー」を除外すると発表しています。
今回の決定は定期的に行われる備蓄食品の点検や入れ替えに伴うもので、コーヒーがリストから外されるのは初めてとなります。
政府はコーヒーを除外する理由について、「世界中で生産されていること」、「生命維持に必要なカロリーを含んでいないこと」を挙げています。
備蓄食品の更新は2022年までに行われる見込みです。
スイスの備蓄システムは第一次世界大戦と第二次世界大戦の際に確立されました。
戦争に伴う最悪の事態に備えるため、備蓄される品目には、米や油、砂糖といった基本的な食品のほかに、嗜好品であるコーヒーや、動物のための飼料など多種多様なものが含まれています。
リストからの除外が決まったコーヒーは、現在備蓄倉庫に15,000トン以上が保管されています。
この量は、国内で消費されるコーヒーの約3カ月分に相当します。
スイスは世界でもコーヒーの消費量が多い国で、今回の政府の決定については、国内のコーヒー生産者や企業から反発の声が挙がっています。
スイスの備蓄食料を監督しているReserveSuisseは、「コーヒーを品目から除外すべきではない」とする声明を発表し、政府はカロリーのみを焦点にするのではなく、コーヒーのもつ心理的効果についても目を向けるべきだと指摘しています。
永世中立国であるスイスは、第三次世界大戦などの緊急事態が発生した場合、他国からの助けを期待できず、当面は自国内で問題に対処する必要があります。
そのため国民の間には自衛の意識が強く、個人用のシェルターを持つ家も少なくありません。
食料の備蓄システムは国民を守るためのものであり、スイスという特殊な立場にある国においては必須のセーフティネットです。
一方で、人間の健康はカロリーだけで計れるものではなく、不自由な生活が続けば精神的なケアも必要になってきます。
コーヒー業者と愛好家は、コーヒーには備蓄食料として果たせる役割があり、リストからの除外は不当であると訴えています。
スイス政府は備蓄食品のあり方について、引き続き広く意見を求めていくとしています。
コーヒーを備蓄している企業には政府から援助金が出てるみたい
反対意見が出るのも当然というわけだな
Reference: ABC