慢性的な睡眠不足は脳の細胞を狂わせ自分自身を“食べる”:マウス実験による新しい発見

雑ネタ
Image by Gerd Altmann from Pixabay

睡眠は生き物にとって日中に受けた神経ダメージを回復するために不可欠な行為です。

しかしストレスや誘惑の多い現代社会では多くの人が慢性的な睡眠不足を抱えています。

 

睡眠不足が私たちの身体に悪影響を与えるという研究結果は多くありますが、今回新しく発表された研究はその悪影響がさらにひどいものになる可能性を示しています。

慢性的な睡眠不足は、脳にある神経細胞の働きを狂わせ文字通り脳自体を食べ始めます。

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睡眠不足は神経細胞を狂わせ本来しない行動を起こさせる

 

イタリアのMarche Polytechnic大学の神経科学者Michele Bellesi氏が率いる研究チームは、睡眠不足が脳に及ぼす影響を調べるためにマウスを使った実験を行っています。

研究では脳の神経細胞(ニューロン)にある2つの細胞――ミクログリアアストロサイトの動きが睡眠不足とどう関連しているのかを調べます。

ミクログリアは使い古された細胞を除去する役割があり、アストロサイトは脳内の伝達機能に関係するシナプスの配線を整える役割があるとされています。

 

実験でマウスは4つのグループに分けられました。

 

1つめのグループ-6~8時間眠り続ける。
2つめのグループ-定期的に目覚める。(自発的なもので最も自然な形)
3つめのグループ-8時間連続で起きている。(明確な睡眠不足)
4つめのグループ-5日間連続して起きている。(慢性的な睡眠不足)

 

研究者たちはマウスの脳内にあるアストロサイトがこれまでには考えられていなかった動きをするのを発見しました。

 

アストロサイトはどのグループのマウスの脳にも存在していましたが、特に3つめと4つめのグループ(睡眠不足のグループ)ではその活動性が増していることがわかりました。

そして驚いたことに彼らのアストロサイトは、シナプスの一部を“食べる”ことでその活動性を増していました。

 

Bellesi氏は「この研究は、睡眠障害のためにシナプスの一部が文字通りアストロサイトによって食べられていることを示す初めてのものだ」と語っています。

 


 

ミクログリアは元々不要な細胞を“食べる”ことを仕事としていますが、アストロライトが同じような動きをするということはこれまで知られていなかったことです。

Bellesi氏はアストロライトが標的にしたマウスのシナプスのほとんどは脳内の中で最も大きいものであり、これは通常使い古されたものを示していると述べています。

つまりこれは老朽化した細胞を除去しているという意味で決して悪いことではありません。

しかし別のマウスを使った研究では、ミクログリアが本来の仕事をしない状態がアルツハイマー病や他の脳疾患と関連しているというデータがあります。

この研究は本来するはずのない働きをアストロライトにさせたという点で、睡眠不足が脳にもたらす悪影響を端的に示しています。

 

Bellesi氏は4つのグループのうち2つめの、自発的な睡眠グループにはこの障害が起きなかったこともあわせて報告しています。

そして慢性的な睡眠障害は脳の細胞の機能を損傷させる可能性があると述べました。

 

 

 


 

この研究はマウスを対象したもので、人間が同じような結果を出すのかは未知数です。

睡眠不足が人間の脳にどのような影響を与えるのかについてはまだまだ多くの研究が必要でしょう。

しかしアルツハイマー病に関してはその死亡者が1999年以来50%も増加しているというデータがあります。

これが近年の睡眠不足を訴える多くの人々と無関係ではないとすれば――はっきりとした答えを待たずとも――私たちは今すぐにでもベッドに向かう必要があります。

 

結局のところ自分の身体が一番、自分自身をよく知っています。

眠いときにはさっさと寝る――これに勝る健康法はありません。

 

 

Reference:ScienceAlert