周囲にデスメタル好きがいても大丈夫!音楽のジャンルと暴力との関連性は認められない(研究結果)

雑ネタ
Photo by Robban Kanto | Flickr

暴力的なメディア(映画やゲーム)がその愛好家に悪影響を与えると考える人たちがいます。

彼らは暴力的なメディアに触れることで暴力に対して鈍感になり、それが犯罪につながるとしています。

最近では悲劇的な事件が起こった際に真っ先にやり玉に挙げられるのがビデオゲームで、各国の議員たちはゲーム業界の幹部やゲーマーたちとその影響について話し合いをしたり、規制強化のための法案の成立に向けて動いたりしています。

 

人は視覚的な影響を受けやすいので暴力的なゲームや映画などが批判の対象になりやすいのは仕方のないことかもしれません。

しかしメディアとして忘れてはならないものの一つに音楽があります。

音楽も人間の感情を揺さぶることができます。

 

音楽にも様々なジャンルがありますが、ひときわ暴力的とされるものがデスメタルやヘビーメタルといったジャンルです。

もしこれらのジャンルが暴力に対する感覚を麻痺させる力を持っていたとしたら、私たちは数えきれないほどの犯罪予備軍の近くで生活している可能性があります。

そういえば職場のあの人はよく激しい音楽を聴いていたな……そういえば隣の家の息子さんが上半身裸の白塗りメイクでギターをかき鳴らしていたな……

もし心当たりがあったとしても警察を呼ぶのはちょっと待って!

 

暴力的な音楽がリスナーに及ぼす影響についての最新の研究結果によると、デスメタルには暴力に対する感覚を鈍らせる効果はありません。

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デスメタルやヘビーメタルには暴力に対する感覚を鈍らせる効果はない

 

オーストラリアのマッコーリー大学の心理学者による新しい研究によると、デスメタルやヘビーメタルには――その音楽が象徴するような――悪魔的な効果はありません。

研究チームは暴力的なメディアに長期間さらされることで暴力に対する感受性が低下する可能性があるという他の研究結果を挙げ、しかしそれが「暴力的なテーマを持つ音楽の場合はその限りではない」と論文で説明します。

研究はこれを証明するべく行われました。

 


 

研究は暴力的な音楽が暴力的な画像の認知にどのような影響を及ぼすかを調べるもので、両眼競合とよばれる方法で行われました。

これは異なる2つの画像を同時に見せ、そのどちらがより印象に残ったのかを調べるものです。

(通常人間は同時に異なる2つ以上のものを目にした際はそのどれか1つに対して強力な印象を抱きます)

 

大学の研究チームは校内から80人の参加者を募りました。

その内訳はデスメタルの愛好家32人、デスメタルには興味がない音楽ファンの48人です。

彼らは暴力的なものと中立的なものとが合わさった11の画像を見せられそのどちらが印象に残ったのかをボタンを押して答えていきます。

また彼らは選択の際に2種類の楽曲のうちの1つを聞いている状態です。

 

楽曲のうちの1つはPharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)の「Happy」。

もう1つはスウェーデンのデスメタルバンドBloodbath(ブラッドバス)の「Eaten」です。

(ちなみにEatenは普通の食事のことを歌ったものではなく、かなり暴力的でグロテスクな”食事”について歌っています)

実験中被験者たちはHappyかEatenを聞きながら両目に入ってきた画像のうちの一つを選択していきます。

 

実験結果はデスメタルのファンとそうでないグループの両方ともが暴力的な画像に対して強く反応していることを示しました。

 

具体的にはデスメタルのファンでないグループはHappyよりもEatenを聞いている時により強く暴力的な画像を知覚しました。

またデスメタルのファンはHappyを聞いているときはもちろんのこと、Eatenを聞いているときも暴力的な画像を知覚しています。

もしデスメタルに暴力に対する知覚を鈍化させる効果があるのだとすれば、デスメタルのファンは――特にEatenを聞いているときには――暴力的な画像に関心を示さないはずです。

しかし両方のグループが暴力的な画像に対して強く反応していました

 

これは音楽のジャンルが暴力に対する知覚に影響を及ぼさないという信頼できる結果といえます。

 

研究チームはなぜこのような結果になったのかについて、暴力的な音楽のファンが音楽と現実との区別ができるということ、そしてデスメタルのような音楽に首尾一貫した物語を表現する傾向がなく、音楽で表現されるテーマと現実との関連についてファンが考えていないことが関係しているのではないかと書いています。

 

好きなジャンルの音楽にはプラスの効果がある

 

Photo by mzagerp / Flickr

 

デスメタルのファンもそうでないグループもどちらも人間的であることが示されましたが、研究はこの2つのファンがまったく同じではないということも明らかにしています。

 

実験でデスメタルのファンでないグループは、Happyを聞いているときとEatenを聞いているときとの感情の差が激しいことがわかっています。

一方でデスメタルのファンはどちらの音楽を聞いているときでも感情の変化は一定の範囲に保たれていました。
(両方のグループとも暴力的な画像に対して強く反応した点は同じです)

 

研究者たちはこれが彼らが普段耳にしているジャンルとそうでないジャンルに対する感情変化の違いだと考えています。

デスメタルのファンがEatenのような曲を聞くことは日常的ですが、そうでないグループにとっては感情を揺さぶられる経験になり得ます。

ある研究結果ではデスメタルのファンはこのジャンルの音楽を聴くことで力、喜び、そして平和(!)さえも経験していることが示されています。

研究者たちはこれらの結果から、その人にとって肯定的な意味を持つ音楽は――たとえどんなジャンルであっても――否定的または暴力的な情報を和らげる効果があると結論づけています。

また暴力的な音楽を好むファンが外部から受ける精神的ストレスや、彼らに対する人々の理解について新しい考え方につながる可能性があるとしています。

 


 

人は見た目で判断してはいけないといわれますが、聞いている音楽でもそれは同じだということがわかりました。

デスメタルのファンがそれを聞くことで力や喜びや平和を感じるのであれば素晴らしいことです。

 

音楽は私たちを元気にさせ明日への希望を抱かせる大きな力の源です。

だからもし職場や学校で自分が聞いたことのない、または好きではないジャンルの音楽を聞いている人がいてもあたたかい目で見守ることにしましょう。

きっとその人も音楽から活力を得ているはずです。

 

……でももし半裸で白塗りの人が意味不明なことを叫んでいたら警察を呼んだほうがいいかもしれません。

 

 

References:The Royal Society

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