“これは私たちにとっての墓”――核のゴミ箱「ルニットドーム」がもたらしかねない危機

雑ネタ
Runit Dome,Public DomainWikipedia

太平洋のマーシャル諸島にあるエニウェトク環礁は、第2次世界大戦の後アメリカの核実験場として利用されました。

1948年から1962年まで行われた核実験は、大量の放射性廃棄物を生み出します。

その後アメリカ軍は1977年から80年にかけてエニウェトク環礁を訪れ、約4,000人の軍人が放射性廃棄物を片付ける任務に従事しました。

こうして集められた核のゴミは、ルニット島に作られたオリンピックサイズのプール35個分の深さの穴に放り込まれ、上から分厚いコンクリートで覆われます。

 

核のゴミを収納したコンクリート施設は周囲の人々に安心を与えました。

しかし月日は流れ、安全神話は崩れ去ることになります。

 

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放射性廃棄物を閉じ込めた核のゴミ箱「ルニットドーム」

 

Image:ABC News In-depth,YouTube

 

ルニットドーム」と呼ばれる分厚いコンクリートで覆われたその核廃棄施設は、当初、別のさらに安全な施設に核のゴミを移動させるまでの“仮の”施設として建設されました。

しかし具体的な移設プランがないまま時は過ぎ、現在ドームの表面には無数のひび割れが生じ、いつ崩壊するとも知れぬ状態となっています。

ドームを覆うコンクリートの耐用年数がせいぜい100年であるのに対し、保管されているプルトニウムの半減期間が2万4千年という状態は、傍目から見ても核の危険についてあまりに無防備すぎます。

ルニットドームの放射性物質の危険性については何度も取り上げられてきましたが、今のところ決定的な解決法は導き出されていません。

 

ルニットドームは現地の人たちにとって“墓”

 

核実験の際に遠くの島に強制的に避難させられた元住民たちは、現在、環礁にある40の島のうちの“居住するのに安全な”3つの島にだけ住んでいます。

約650人ほどの人々はルニットドームのことを“”という名で呼び、それがいつ自分たちに災いをもたらすのかを心配する日々を送っています。

 

ドームが崩壊するかもしれないという懸念は、放射性廃棄物を覆うコンクリートの劣化によるものだけではありません。

1993年以来、この地域の海面は毎年上昇を続けており、現在ドームの下の土壌部分はすでに水が染み出している状況です。

ルニットドームはコンクリートの劣化に加え、気候変動による海面上昇によって、本当の――島の人たちが呼ぶような――“墓”に変わろうとしています。

 

最近の調査によると、マーシャル諸島の海面は2030年までに現在よりも3㎝~16㎝上昇すると見込まれており、その結果高潮が発生しドームが水没してしまう可能性があります。

地元の人々は、ドームの破壊によって放出される放射性廃棄物の健康への被害を心配していますが、原因を作った当のアメリカはこの問題をそれほど気に留めていません。

2013年、米国エネルギー省はルニットドームについて触れ、ドームが放射性物質を海洋に放出する可能性がないとは言えないとしながらも、それが「地元住民に届けられる放射性物質の大幅な変化につながるとは限らない」と述べました。

 

アメリカの淡泊な対応に地元の人たちは怒りを通り越え、ある種のあきらめにも似た感情を抱くまでになっています。

エニウェトク環礁の島で教師をしているクリスティーナ・アニンギ氏は「もしドームが開いたらここに住む人のほとんどはいなくなる」と嘆き、ルニットドームは私たちにとって「墓地」のようなものだと話しました。

 

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科学者はルニットドームが及ぼす影響についてほとんど知らない

 

Image:ABC News In-depth,YouTube

 

現在ルニットドームのコンクリートには無数のひび割れが生じていて、一部では中の放射性物質が漏れ出ているという報告もあります。

しかし科学者たちはルニットドームの放射線レベルが、本当に周囲に住む人や環境に有害であるかについてほとんど知りません。

 

ドームの土壌をサンプリングする計画を立てている、米国ウッズホール海洋研究所の海洋放射線学者、ケン・ベッセラー氏は、放射線に関する懸念は誇張されることがあると語ります。

 

あなたが食べるもの全てにセシウムがあり、食べるものと飲むもの全てにプルトニウムがあります。

 

実際セシウムもプルトニウムも核実験や原発事故などにより自然界に存在しており、世界の全ての人間の体内にはこれらの核物質が微量ながら蓄積されています。

しかし核のゴミ箱のすぐそばに住んでいるエニウェトクの人たちにとって、ルニットドームの崩壊によって生じる核への曝露は無視できるレベルではありません。

 

科学者たちは島全体の放射線曝露について“いまだ”研究中です。

 

 

 


 

ルニットドームで大々的な放射線の調査が行われるのかは今後の状況次第です。

しかし気候変動による海面上昇のスピードは予想以上に早いため、対策が遅れることは取り返しのつかない事態に発展する恐れがあります。

島の人たちが呼ぶ「墓」が本当に暴かれたとき、世界には「死」よりも恐ろしい災いが訪れることになるかもしれません。

 

 


 

 

せつな
せつな

海のすぐそばだから、ちょっとした嵐でも被害が出そうな感じ……

かなで
かなで

放射性物質が漏れ出たら大変なことになっちゃうよー!

しぐれ
しぐれ

周辺の人たちだけの問題じゃないから、早く対策してほしいね

 

 

 

References:Business Insider

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