生物の雄にとっての魅力とは何でしょうか?
外見?運動能力?それとも子孫を残していく能力?
そのどれもが雄にとって重要ですが――幸運なことに――自然はバランスを最も重要視しています。
霊長類学者による興味深い研究は、どんな生物であれ「天は二物を与えない」ことを解明しています。
研究によると、魅力的な雄はより小さな睾丸を持っています。
(……そしてもちろん、魅力的でない雄にはより大きな睾丸が備わっています!)
外見が魅力的な雄は睾丸が小さい
西オーストラリア大学とチューリッヒ大学の霊長類学者は、雌を引き付ける魅力を持つ雄の霊長類は、そうでない雄に比べて睾丸が小さい傾向にあることを発見しました。
研究の著者の一人である西オーストラリア大学の霊長類学者Cyril Grueter博士は、これは雌を獲得するために雄が進化し獲得してきたものの違いを表していると考えています。
調査は100種の霊長類を対象に行われました。
(もちろん人間も含まれています!)
そこでは雌を引き付ける外見の特徴をいくつかに分けてそれを評価し、その総得点と彼らの睾丸の大きさとを比較しました。
外見のチェックポイントには、頬骨、顔が左右対称であるかどうか、あごひげ、毛並みやその艶など多くの項目があります。
イメージとしては人気俳優がもつ要素を思い浮かべるのが簡単かもしれません。
多くの女子が目をハートにしてしまう外見の男性は、そうではない男性から冷たい視線を浴びることになりますが、調査結果はまさに、どんな生物も平等であるという自然のバランス感覚の素晴らしさを示しています。
データは、外見のよい雄ほど睾丸が小さいことを明らかにしました。
これは裏を返せば、外見の良くない雄は大きな睾丸を持っていることも表しています。
完璧超人のように見えるイケメンとて弱点(睾丸が小さい)があることに世の男性たちは狂喜した……かどうかは定かではありません。
それについては別の研究を待つことにして、ここではなぜそうした相関性が見られたのかについて掘り下げていきましょう。
睾丸の大きさは雌の獲得のしやすさと関連している
魅力的な外見を持つ雄はなぜ睾丸が小さいのでしょうか?
Grueter博士は、外見の良さと睾丸の大きさを両立するためには必要とする生物的なエネルギーが大きすぎるのではないか、と述べています。
これは雌を獲得し子孫を残すことを最終目的とする雄のDNAと関連があります。
外見が良いと雌の獲得競争に勝つ可能性が高くなるのは、人間社会だけでなく動物の世界でも同様です。
しかし外見がそこそこの雄の場合、雌を獲得するチャンスはその生涯に何度もないかもしれません。
そのため彼らが雌を獲得した場合には、高い確率で子孫を残す必要があります。
つまり魅力的でない雄の睾丸が大きいのは、多くの精子を生産し、子孫を残す数少ないチャンスを確実にするために進化した結果といえます。
一方外見が魅力的な雄は、たとえ小さな睾丸のせいで子孫を残せなくとも次のチャンスがあります。
いずれの雄も子孫を残すという目的のため、自分にあった形で進化を遂げてきたのです。
今回の研究結果は、自然と生物が驚きのバランス感覚を持ち、それぞれにあった形で子孫を残せるよう適応してきたことを明らかにしています。
人間の場合は必ずしもこの例に当てはまるとは限りませんが、自分の“持ち物”について悩んだことのある方はどうか自信と誇りを持って下さい。
比較する必要なんてありません――その大きさこそ、あなたがたった一人のあなたであることの証なのですから。
References:Phys.org