「アスパルテーム」は本当に危険?WHOが発がん性物質に分類

雑ネタ
(Maïté De Seranno/Flickr)

WHO(世界保健機関)は7月14日、人工甘味料「アスパルテーム」の発がん性について“その可能性がある”とする見解を発表しました。

これはWHOの外部組織である国際がん研究機関(IARC)と、WHOとFAO(国連食糧農業機関)の合同食品添加物専門家会議(JECFA)の評価に基づくもので、今後アスパルテームは、IARCが定める「がんを引き起こす可能性のある4つの物質グループ」の3番目に位置付けられることになります。

アスパルテームは砂糖の200倍の甘さを持つ低カロリーの人工甘味料で、1974年にアメリカ食品医薬品局(FDA)に承認されて以降、食品、飲料、医薬品など幅広い用途で使用されるようになりました。

しかし自然界に存在しない物質であるアスパルテームの安全性については当時から議論があり、国連の専門家グループはいくつかの研究結果を元に、1日の摂取量を体重1㎏あたり40㎎にするよう推奨しています。

 

今回の発表につながったIARCの発がん性物質の評価では、「アスパルテームが肝臓がんに関連している」とする、ヒトと動物を対象にした“限定的な”研究結果が重要視されました。

一方でWHOは、アスパルテームの使用に関し従来の推奨基準を変えておらず、これについてWHOの栄養部長であるフランチェスコ・ブランカ博士は、「我々は消費者に、アスパルテームの摂取を完全にやめるのではなく、少し控えめにするようアドバイスしているだけです」と述べています。

 

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アスパルテームの本当のリスク

 

アスパルテームはカロリーを制御する目的で使用され、巷では“ダイエット”を謳った炭酸飲料や菓子などの商品で多く目にします。

WHOは今回初めてアスパルテームの発がん性に言及しましたが、消費者は今後どのようにアスパルテームと付き合っていくべきでしょうか。

ここで、IARCが定義している「がんを引き起こす可能性のある物質」の4つのカテゴリーを確認しましょう。

 

グループ1・ヒトに対する発がん性がある

ヒトを対象にした研究から説得力のある証拠があり、がんを引き起こすメカニズムも正確にわかっているもの。

このグループには、タバコ、アルコール、加工肉、放射線など126の物質が含まれます。

 

グループ2a・ヒトに対しておそらく(Probably)発がん性がある

ヒトにおいて、その物質とがんとの間に正の相関があるが、研究で十分に検討されていない他の説明が残されているかもしれないもの。

このグループには、赤肉、DDT殺虫剤、夜勤労働など95の物質および要因が含まれます。

 

グループ2b・ヒトに対してもしかしたら(Possibly)発がん性があるかもしれない

ヒトにがんを引き起こすという証拠は限られているが、動物実験からは十分な証拠がある。

またその物質がどのように発がん性を持つのかのメカニズムについてもよく理解されているが、さらなる科学的エビデンスが必要であるもの。

このグループには、アロエベラ、イチョウの葉、鉛、そしてアスパルテームなど323の物質が含まれます。

 

グループ3・発がん性物質として分類できない

ヒトや動物からの十分な証拠がなく、発がんのメカニズムについても証拠が限られているもの。

このグループには、お茶、コーヒー、インク、ジェット燃料など500の物質が含まれます。

 

アスパルテームは適度な摂取量であれば心配する必要はない (Ron Lach/Pexels)

 

アスパルテームは今回グループ2bに分類されました。

このグループは発がん性について、ヒトでは研究が不十分ですが、動物実験ではそれなりの証拠があります。

とはいえグループ1やグループ2aと比べれば、必要以上に神経質になる必要はないかもしれません。

 

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例えばアスパルテームの場合、体重70㎏の人が許容摂取量に達するには、ダイエットコーラのような炭酸飲料を1日5リットル以上飲まなければならず、これはかなり非現実的です。

もし実際に問題があるとすれば、それはアスパルテームが他の食品にも含まれている可能性があることです。

一般的にアスパルテームは加工食品あるいは超加工食品に含まれており、これらは糖分、塩分、脂肪が非常に多く健康に不利益をもたらすことが分かっています。

またアスパルテームなどの人工甘味料には食欲を増進する作用があり、たくさん食べてしまうことで体重の増加を招きます。

アスパルテームとうまく付き合う方法は、敵視するのではなく、食事を通してどれだけ体に入ってきているのかを知ることです。

IARCの元委員で、米国インディアナ大学ブルーミントン校の栄養学の専門家であるデイビッド・クラーフェルド氏は、「量が毒を作ります。ビタミンA、鉄分、水といった必要栄養素でさえ、摂り過ぎれば数時間で死に至ります」と述べています。

 

FDAはWHOの見解について、「アスパルテームが一般大衆にとって安全であるという我々の結論は、科学的証拠によって引き続き支持されている」と述べています。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

今回の発表の根拠となった研究は3件だけだったみたい

ふうか
ふうか

ダイエットコーラをたまに飲むくらいなら、とりあえずは心配いらないということだな

 

References: The Conversation,AP News