軽い運動とバランスのとれた食事が効果的、認知機能の低下を防ぐ方法

雑ネタ

運動が身体によいとわかっていても継続することはなかなか難しいものです。

しかし運動は身体だけではなく、脳機能や心の状態にまで良い影響を及ぼす力があります。

また運動だけでなくバランスの良い食事も健康には欠かせない要素です。

 

新しく発表された研究は、運動と食事が脳の認知機能にどのような影響を与えるのかを検証しています。

適度な運動は、脳の機能を向上させることができます。

 

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1週間に3回だけの運動でも脳の機能の低下を抑えられる

 

 

1週間の間に3回程度の運動をすることは、脳機能や心臓にとてもよい効果があることがわかりました。

最新の神経学ジャーナルに掲載された報告によると、週3回程度のウォーキングやサイクリングをすることは思考力を向上させ、脳機能の低下を遅くするという結果が出ています。

またそこに健康的な食事を追加すればさらに効果があることもわかりました。

うつ病や全般的な心臓の健康について長年研究してきた米国デューク大学の臨床心理学者James Blumenthal博士は、「定期的な運動と良い食事は思考力を向上させ脳年齢を若返らせる効果がある」と述べ、また運動と食事が認知症を発生しやすい患者の認知機能の低下を遅らせたことを明らかにしています。

 

研究は脳機能の問題を抱えた160人の高齢者を対象に行われました。

彼らのほとんどは高血圧や心臓疾患のリスクを抱えていて、また日常的に運動をせず、意思決定や記憶、集中などに関しての問題を抱えています。

参加者の平均年齢は65歳、3分の2が女性で、白人とそれ以外の人種の人が均等に分けられています。

集められた160人は4つのグループに分けられ、6カ月間にわたって実験に参加することになりました。

 

1つめのグループは「DASH」と呼ばれる食事療法を行います。

 

DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)は野菜や果物、全粒穀物を重視し、塩分や脂肪分の多い食品、またお菓子類をカットする食事メニュー。
高血圧を予防し治療するためにアメリカで考案された食事療法として広く知られている。

 

このグループは食事について専門家から栄養指導を受けますが、いつ何を食べるかについては自由でした。

 

2つめのグループは運動をしますが、食事療法は行いませんでした。

最初の3か月間心臓リハビリ施設で運動の指導を受け、週に3回それほど激しくない運動を行いました。

この運動は身体を10分間温めた後、35分間連続したウォーキングやサイクリングをするものです。

その後の3か月間は自宅でそれを行い、定期的な報告をしました。

 

3つめのグループは1つめと2つめのグループがしたことを両方行いました。

つまり週に3回運動をしDASH食事療法を取り入れました。

 

4つめのグループは、健康教育担当者と心血管リスクを軽減するためのアドバイスを30分だけ受けた後、これまでどおりの日常を過ごしました。

 

はたして4つのグループにはどのような変化が見られたのでしょうか。

 

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適度な運動とバランスの良い食事は実行機能を若返らせる

 

 

1つめのグループと4つめのグループは統計的に優位な改善が見られませんでした。

2つめのグループ(運動だけをしたグループ)は運動をしなかったグループと比べ、脳の実行機能が大幅に上昇しました。

 

実行機能は脳の認知システムで、複雑な課題を実行する際に思考や行動などを制御する機能のこと。
60歳以降の高齢者では機能の低下が顕著になる。

 

研究者の一人でアルツハイマー病予防クリニックを指揮するRichard Isaacson博士は、「これは有酸素運動が脳に良い影響を及ぼしたことを示している」と述べ、またBlumenthal博士は、このグループが座りがちで認知障害がある高齢者であることを強調したうえで、誰もが(若い人や健常者であっても)運動プログラムを続けることで効果をあげられることが証明できたと語っています。

 

しかし2つめのグループ以上によい結果を残したのが3つめのグループ、すなわちDASHと運動の両方を取り入れたグループでした。

このグループの実行機能のテスト結果は他のグループを上回っていました。

実行機能の評価ポイントは、何もしなかった4つめのグループが38ポイント、運動を取り入れた2つめのグループが42ポイントだったのに対し、このグループは47ポイントを獲得しています。

運動と食事療法を取り入れたこのグループは、実行機能の平均スコア年齢も9歳若返らせることができました。

 

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運動と食事をコントロールすることは健康的なライフスタイルにつながる

 

 

今回の実験では認知機能については改善がみられましたが、記憶に関してはどのグループにおいても有意性が認められませんでした。

これについては実験期間の短さも関係しているとIsaacson博士はいいます。

 

もしこの研究が18か月続けられたか、あるいは異なる種類の食事療法を使用したならば記憶の改善がみられたかもしれない。

 

Isaacson博士は、認知と記憶についてのさらなる研究が必要であると話しています。

 

一方Blumenthal博士は今回の研究結果をポジティブに受け止めています。

 

重要なことは、健康的なライフスタイルを採用することで認知機能が改善されることです。始めるのに遅すぎることはありません。

 


 

今回の研究は年配の方を対象としたものでしたが、運動と食事のコントロールは若い人たちにも良い影響を与えることができます。

適度な運動とバランスのとれた食事は、健康で長生きするための秘訣です。

 

 

References:neurology.org,CNN