フェティシズムは危険ですか?フェチに関する4つの神話

オーストラリアのマッコーリー大学でフェティシズムの研究を行っているジゼル・リース氏は、フェティシズムやフェチの傾向を持つことは人間として何らかの欠陥があったり倒錯を意味したりはしないと述べ、現代でもいまだみられるフェチに対する誤解と偏見に挑戦しています。

(フェティシズムは一種の性的倒錯で性的対象が歪曲されることを指します。性的対象は生物、無生物を問わず、また性器以外のありとあらゆる身体的部分がフェチの対象となりえます)

かつてフェチであることは何らかの精神的疾患と考えられていましたが、現代ではそれはもはや事実ではありません。

カナダで行われた最近の研究では、1,040人の対象者のうち26%が過去に何らかのフェチ的活動を少なくとも1回は行っていました。

 

メンタルヘルス障害の分類に利用される診断および統計マニュアル「DSM-5」によると、フェティッシュは社会的、職業的に苦痛や障害を引き起こすまれな場合においてのみ病とみなされると定義しています。

これは言い換えれば、“ほとんどの人にとってフェチは精神病などではない”ことを意味しています。

しかしフェチであることが病気でもなんでもないとわかっていたとしても、多くの人はフェティシズムに対して何らかの偏った意見を持っているのが現実です。

ではなぜ人はフェチに対して偏見を抱くようになったのでしょうか?

 

それはおそらくフェチに対するいくつかの神話が関連しています。

 

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フェチに関する4つの神話

 

リース氏は実際にフェチを持つ人たちや過去の歴史を広範囲に調査し、そこからフェチに対する偏見という神話がどのようにして作られたのかを導きだしています。

 

神話1――フェチを持つ人は危険だ

 

Image by Klaus Hausmann fromPixabay

 

リース氏は230人のフェチではない人を対象に、フェチ的な架空のキャラクターについてどんな印象を持ったのかアンケートを行いました。

その結果ほとんどの人がキャラクターを「危険」「気味が悪い」または「変態」のように表現しました。

 

少なくとも現代の精神障害の診断ツールであるDSM-5では、フェティッシュであることは、それが苦痛や障害を引き起こさず社会生活が困難でない限り病とはみなされません。

しかし現代ではフェチは特に性的関係において語られ、そのイメージはどちらかといえば暗いものになりがちです。

リース氏はこれには過去の性的に倒錯した犯罪者のケースが関わっていると考えています。

例えばジェリー・ブルードス(1968年から69年の間に4人の女性を殺害したアメリカの連続殺人犯。靴に対して異常な執着があった)などの靴や足に対して異常なフェチを持っていたシリアルキラーの存在が、人々にフェチ=危険であるというイメージを植え付けるのに一役買っているのは間違いないでしょう。

 

リース氏は“フェチを持った犯罪者”というまれなケースがフェチに対する根拠のない神話を助長していると述べています。

 

神話2――フェチを持つ人は性的関係にフェチを必要とする

 

フェチを持つ人は性行為においてもフェチ的であると考えられてきました。

しかしリース氏の研究では、フェチの人たちはごく一般的な性行為を行いそれを楽しめる能力があることが示されています。

……といっても彼らの多くはしばしば性行為にフェチ要素を持ち込むことも事実です。

 

調査によれば、ラテックスの手袋やサテン素材でてきた衣服などは彼らの性的興奮を高めることがわかっています。

※この結果はフェチを持つ人が性的関係において“必ず”フェチを必要とするわけではないが、もしあるならばそれはそれで良いと考える傾向にあることを示しています。

 

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神話3――フェチを持つ人は人間関係を望んでいない

 

1912年に著名な性科学者であるハヴロック・エリスはフェチを持つ人について、「彼らは最初から孤立する傾向にあり、それは過度の恥ずかしさに基づいている」と述べました。

これはフェチを持つ人が人間関係の構築に苦労する傾向にあり、他人と親密な関係を築けないことが倒錯的な性行為に発展するという考え方です。

フェチだから人間関係が築けないのかもしくはその逆なのか、という卵が先かニワトリが先かという議論と似ていますが、当時の科学者たちがフェチを一種の病的な反応と考えていたのは明白です。

 

リース氏は現代のフェチを持つ人たちが孤独ではないことをデータから明らかにしています。

同氏の調査では対象者の4分の3が親密なパートナーを持っており良好な関係にあることがわかっています。(もちろん彼らの多くがフェチ的な性行為に寛容なのはいうまでもありません)

 

神話4――フェティシズムは病気に違いない

 

実際DSM-5の前身である1968年のDSM-2は、フェティシズムは“奇妙”であり性的関心について不健康であると定義していました。

また1994年まではフェチを含むあらゆる“正常”とは考えられないセクシャリティは全て精神障害であるとみなされていました。(同性愛も1973年までは精神疾患と考えられていました)

しかし現代において多様なセクシャリティはその人の精神的不健康を示す指標ではなくなっています。

 

他人と異なる性的関心は、相手と合意があり自分や他人に害を及ぼさない限り精神的不健康を意味していません。

 


 

リース氏はフェチであることは健康に結びつくと考えています。

これまで一目を忍び隠し続けてきた自分のフェティシズムを開放できることは、その人の精神面に大きな影響を与えます。

フェチであることを相手に強要することや合意のない行動などは慎まれるべきですが、フェチも自分の個性だと考えることができれば人間関係もより円滑になるかもしれません。

(なかなか日本では難しい話題かもしれませんが……)

 

 

 

References:TheConversation