世界の7人に1人が片頭痛に苦しんでいますが、その原因を特定することはいまだ困難な作業です。
以前の研究では、縞模様が片頭痛の患者に視覚的錯覚と不快感を与えることが示されていました。
脳の視覚情報の処理を行う領域と片頭痛との間に何らかの関連性が認められれば、病気の原因についての理解が進む可能性があります。
片頭痛患者の視覚野は特定の画像に強く反応する
Neuroimage:Clinicalに掲載された研究は、片頭痛の原因の少なくとも一つに、「視覚野」が関係していることを明らかにしています。
英国バーミンガム大学の心理学者、チュン・ユエン・フォン(Chun Yuen Fong)博士たちの研究チームは、60人のボランティアに縞模様の画像を見せ、その脳の反応パターンを観察しています。
参加者は全て女性で、そのうち29人が日常的に片頭痛に苦しんでいます。
実験は2種類行われ、1つ目は参加者に縞模様の画像を見てもらい、「不快に感じたか」や「何らかの視覚的現象が起きたのか」などについて回答を求めました。
2つ目の実験では、縞模様の画像を見ている参加者に不快感が最大になった時点でマウスをクリックしてもらい、その際の脳波を記録しました。
実験で使われた格子パターン。参加者は中央の点を見つめるよう求められた Image: Wai Him Crystal Law/University of Birmingham
実験は、片頭痛を持っているグループの視覚野が縞模様に対して大きな反応を見せることを示しました。
脳内の視覚野の亢進(通常時よりも活発な状態)は、1つ目の実験で何らかの視覚的現象が起こったと回答した、片頭痛持ちでない人にも確認されました。
この結果は、特定の画像に対する視覚野の過剰な反応が頭痛を引き起こす原因であることを示唆するものです。
フォン博士は、「ほとんどの片頭痛患者は日常生活で、初歩的な幻覚や視覚的な不快感、光に対する過敏な反応などの異常な視覚感覚を経験している」と述べ、今回の研究結果は、脳の視覚野の反応パターンと片頭痛との関係性を示す最初の証拠になると強調しました。
研究者の一人であるバーミンガム大学のアリ・マザヘリ(Ali Mazaheri)博士は、「この研究は片頭痛患者の外界からの情報を処理する方法に、特定の異常が存在する可能性を示唆したものだ」と述べる一方で、片頭痛のない人にも同様のパターンが見られたケースがあったことから、実験結果は全体像の一部でしかないと付け加えています。
研究チームは今後さらなる実験を行い、片頭痛が起きそうなときの脳の反応とそれによる生理的変化を記録し、それを片頭痛の予測や発症の防止などに役立たせたいとしています。
ストレスや天候の変化で片頭痛になる人もいるから、この分野の研究がもっと進むようになるといいね
上の画像を見てたら頭痛がしてきた……
References: University of Birmingham