50万人以上を対象にした追跡調査から、食事における「塩」が、健康にどのような影響を与えるのかがわかってきました。
塩分は人体に必須のミネラルでありながら、大量の摂取を続けると、高血圧や脳卒中、心臓病といった疾患を招くことが知られています。
WHO(世界保健機関)は、1日の塩分摂取量を5グラム未満にするよう推奨していますが、多くの国の人々が、この水準以上の塩分を毎日体に取り入れています。(日本人は1日約10グラムを摂取しています)
塩は食べ物をおいしくするため、減らすのは難しいと考える人もいます。
しかし研究によると、塩の過剰摂取は、健康上のデメリットにつながります。
塩分の摂取を抑えれば心房細動の発生率が下がる
韓国の慶北国立大学病院が行った研究では、2006年に開始された英国バイオバンクの調査に参加した成人、50万人以上のデータが分析されました。
ここでは、毎日の塩分摂取量を元にグループ分けをし、心房細動の発生率について、それぞれを11年間追跡調査しています。
心房細動は不整脈の一種で、高血圧と深い関わりがあります。
塩分の摂取レベルは、「まったくあるいはほとんど摂らない」、「時々は摂る」、「いつも摂る」の3パターンで、研究参加時に心房細動や心不全、脳卒中を患っていた人はデータから除外しました。
分析の結果、「塩をまったく摂らない人」は「いつも摂っている人」に比べ、心房細動になる確率が18%低下していたことがわかりました。
同様に「時々塩を摂る人」では、15%の低下がみられました。
心房細動は、心拍数を速くし、めまいや息切れ、疲労感を引き起こすだけでなく、脳卒中のリスクも高めます。
研究を主導したユン・ジョン・パク博士は、「私たちの研究は、食品に塩を加える頻度が低いほど、心房細動の危険性が低くなることを示しています」と述べています。
研究では、多量の塩を摂取している人でも、途中で少量に切り替えるならば、心房細動のリスクを低減できることが示されています。
分析によると、国が推奨する塩分摂取量を守り続けている人は、常に塩を使っている人よりも、心房細動のリスクが12%低下しました。
食事からの塩分カットは、高血圧を防ぎ、心房細動や脳卒中、心臓病といった疾患を遠ざけます。
英国心臓財団のジェームズ・ライパー教授は、「塩分の過剰摂取が健康上の問題を引き起こすことはよく知られています。塩分の摂取量を1日6グラムまでにできれば、私たち全員が恩恵を受けることができます」と述べています。
塩味の効いた食べ物はおいしいよねー
塩分はゼロにもできないからバランスが大事だね
Reference: The Guardian