人の死後は安らかではない?類を見ない研究が明らかにする“動く死体”

雑ネタ
Image by carolynabooth from Pixabay

人は死んだらどうなるのでしょうか?

少なくとも生きている間にその答えが見つからないのは確実です。

しかし最近発表されたある研究は、死後かなりの時間がたっていても人間の体が活発に動いていることを明らかにしています。

 

オーストラリアにある死体の腐敗を研究する施設であるタフォノミック実験研究所、通称「ボディーファーム(死体農場)」の研究者たちは、死体の崩壊を撮影することで、人間がその死後も決して“安らかではない”ことを発見しました。

世界でも他に例のない異色の研究は、将来の犯罪捜査の精度を各段にアップさせる可能性があります。

(そして人は死んだあとでさえ騒がしい日常を送る運命にあるようです)

 

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死体は想像以上に活発に動いている

 

オーストラリアのセントラル・クイーンズランド大学の医学者アリソン・ウィルソン氏は、毎月シドニー郊外の秘密の場所にある「死体農場」で変わりゆく死体の観察をしています。

この研究は、現在一般的に使用されている「死亡時間を特定するためのシステム」を改善するために行われています。

死体が分解する速度やその動きが詳細にわかることで、警察は死亡時間をより正確に知ることができるようになります。

ウィルソン氏は17か月間にわたり、日中の30分間、農場にある死体をずっと撮影し続けてきました。

この映像をつなぎあわせたいわゆる“タイムラプス”映像はすぐに研究者たちを驚かせることになります――何と死体は動いていたのです!

 

撮影期間中全ての死体が動き続けていて、あるケースでは、死体の腕が体から少し離れた場所にあったにも関わらず、時間の経過とともに段々と体に引き寄せられていました。

ウィルソン氏は死体の分解の初期の段階にいくつかの動きが見られることは予想していたと語りますが、タイムラプス映像は想像以上に死体が活発に動いていることを明らかにしました。

ウィルソン氏はこの知識が原因不明の死の調査に役立つ可能性があるとし、また17か月に及ぶ観察結果から「人間はその死後も安らかに眠ることはできないだろう」と述べています。

 

類を見ない研究は将来の犯罪捜査や行方不明者の発見に役立つ

 

photo by kat wilcox on Pexels

 

これまでの犯罪捜査や遺体発見現場の検証では、遺体が故意に動かされているという事実が確認できない場合、それは発見されるまでその位置にあったものだとされてきました。

しかし今回の研究は、遺体が発見された場所が必ずしも“最初の場所”であるとは限らない可能性を示唆するものです。

たとえ動かされている形跡がなくても死体は時間の経過とともに移動することがある――こうした考え方が科学捜査に加わることで、将来的により正確な犯罪シーンの分析ができるようになります。

 

死体を長期間にわたって観察した研究は世界でもあまり例がなく、集められた統計データは今後の科学捜査に役立つ可能性があります。

ウィルソン氏は今回の研究が、事件を解決に導く有効なツールになり、死因のより良い理解につながることに期待を寄せています。

 


 

農場で育てられたウィルソン氏は子供の時に家畜が死んでいくのを見て、死後に体がどう崩壊していくのかに興味を持ったと語っています。

そして大学で犯罪学を学んだ同氏は、メキシコのマヤ時代の遺骨分析に関わったことがきっかけで今回のプロジェクトを始めました。

ウイルソン氏は「死体がどのように動くのかについて誰も研究していなかったので自分がやろうと思った」と当時の心境を明かし、「この知識が身元不明の遺体と行方不明者との関連付けに役立つことを望んでいる」と語りました。

 


 

死後の人間の体が1年以上にわたって動き続けるというのは驚きの結果ですが、観察される死体にとっては安眠を妨げられているようでなんだか忍びない感じもします。

ただゆっくりと眠らせて欲しい――死体は動き続けることでそんなメッセージを送っているのかもしれません。

 

 

 

References:ScienceAlert