撲滅につながるか、狂犬病の新しいワクチンにつながる研究

雑ネタ
Image by Nicholas Demetriades from Pixabay

感染するとほぼ間違いなく死に至る危険な感染症である「狂犬病」は、医学が発達した現在においても有効な治療法が見つかっていません。

狂犬病はワクチンを接種することで防ぐことができるものの、世界では毎年6万人以上がこの感染症にかかり命を落としています。

昨年WHO(世界保健機関)は狂犬病を2030年までに撲滅するための戦略を発表しましたが、これを実現させるためには、狂犬病の主な発症地域であるアジアやアフリカの国々が主に資金面での高いハードルを越えなければなりません。

狂犬病のワクチンは決して手頃な価格ではないため、発展途上国での狂犬病の蔓延を防ぐためには、安価で確実な新しいワクチンの開発が求められている状況です。

 

学術誌「Cell Reports」に掲載された研究では、オーストラリアのモナシュ大学とメルボルン大学の共同チームが、狂犬病の免疫系へ及ぼす反応を防ぐ新しい方法について報告しています。

研究者は、新しいワクチンが広まれば狂犬病を根絶させることができるとしています。

 

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狂犬病ウイルスを改変した新しいワクチン

 

Image by Mircea Iancu fromPixabay

 

狂犬病ウイルスは、細胞の増殖や分化を制御する「STAT1」と呼ばれるタンパク質に働きかけることで免疫機能を停止させます。

研究者はこの際の狂犬病ウイルスの動きを観察した結果、ウイルスに改変を施すことで新たな脆弱なウイルスを作ることができるとしています。

この脆弱なウイルスは、安全で効果的なワクチンの開発につながる可能性があります。

 

モナシュ大学の筆頭研究著者であるグレッグ・モーズリー博士は、狂犬病ウイルスのタンパク質の構造や配列を変化させることができる、と話します。

 

改変されたウイルスは増殖することはできますが、免疫機構を止めることはできません。

 

モーズリー博士は、改変された狂犬病ウイルスは人の免疫機構に作用しても重大な影響を及ぼすことはできないとし、これをワクチンに利用すれば感染を防ぐことができると付け加えています。

 

研究は今後実際にワクチン株の変更をテストする予定であり、成功した場合、それは犬の餌を介して経口投与できる新しいワクチンとして利用できるということです。

注射ではなく餌にワクチンを含ませるという方法は、大部分が犬からの感染である狂犬病を撲滅するためには効果的な手段と言えます。

 

モーズリー博士は新しいワクチンが有効であることが示されれば、狂犬病は撲滅できると述べます。

 

犬の集団で十分な免疫力を得ることができれば狂犬病は絶滅します。犬のための安全で効果的な経口ワクチン接種は、狂犬病の撲滅に大きな貢献を果たすでしょう。

 

狂犬病はサルやコウモリ、アライグマなど他の野生生物からも感染しますが、WHOのデータによると感染の99%が犬からのものです。

したがって狂犬病を防ぐためには、人々が飼っている犬や身近な野生の犬に対しワクチン接種を徹底することが欠かせません。

 

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途上国でのワクチン接種には支援が必要

 

新しい狂犬病ワクチンは、特に発展途上国などの注射によるワクチン投与が難しい地域で効果を発揮する可能性があります。

しかし現在の狂犬病対策が全く無意味というわけではなく、一部の科学者は――新しいワクチンをもてはやすのではなく――今ある方法でも十分に予防が可能なことにもっと目を向けるべきだと考えています。

 

イギリス、グラスゴー大学の比較疫学教授であるサラ・クリーブランド氏は、アフリカやアジアの犬の大部分が飼われている犬であり、予防接種や高品質なワクチンが利用できないわけではないと指摘します。

 

これは主に、大規模な犬のワクチン接種キャンペーンを実施するための資源と、低所得国の政府の、獣医サービスへの支援が不足しているためです。

 

クリーブランド氏は、新しいワクチンへの期待が、低所得国の犬たちのワクチン接種の緊急性をそらすものであってはならないと話しています。

 


 

モナシュ大学とメルボルン大学の研究者による発見は、狂犬病との戦いに希望をもたらすだけでなく、同様の免疫反応に作用する別の病気(麻疹ウイルスに関連したニパウイルスなど)に対しても役立つ可能性があります。

 

致命的な病気に対する新しい予防法や治療法の発見は素晴らしいことです。

しかしクリーブランド氏が指摘するように、今現在苦しんでいる人たちのためにできることもたくさんあります。

狂犬病の撲滅を本当に達成するには、主な発症地域である発展途上国への支援を継続的に行う必要があるでしょう。

 


 

 

 

かなで
かなで

狂犬病は恐ろしい感染症だから絶対に撲滅しなきゃ!

しぐれ
しぐれ

実用化はこれからだけど、研究が進んで効果的なワクチンができるといいね

 

References:The Guardian

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