自転車通勤には、経済面や健康面さらには温室効果ガスの削減などの多くの利点があります。
しかしほとんどの人は、毎日自転車に乗って職場に行こうとは思いません。
自転車に乗るのを避ける理由には、事故を起こすのではないかという心配があります。
英国グラスゴー大学の研究者は、人々が感じている自転車通勤への不安や恐怖がどの程度的を得た感情なのかについて、広範囲なデータから調査を行っています。
調査結果は、自転車通勤のリスクと健康上の利点を明らかにしています。
自転車通勤にはリスクがあるが健康面への利点も大きい
過去にイギリスで行われたアンケートでは、40%の人が自転車を利用できる環境にあるにもかかわらず、実際に自転車で通勤していると答えた人の割合は4%しかありませんでした。
回答者の64%は、自転車通勤をしない理由として「危険すぎること」を挙げています。
グラスゴー大学の研究者チームは、自転車通勤が本当に危険なのかについて改めて調べるため、国内の22か所から230,390人の通勤者の病院記録と交通手段のデータを集めました。
この中の5,704人は普段から交通手段として自転車を利用しています。
8年以上の追跡データから判明したのは、通勤時に負傷し入院したことのある人の割合が、自転車通勤者で7%、車や公共交通機関を使った通勤者で4.3%であることでした。
自転車通勤者の入院リスクは他の移動手段と比べて45%高く、また負傷リスクも目的地までの距離が長いほど高くなりました。
徒歩通勤者はほとんど負傷しませんでした。
データは、自転車通勤が自動車との接触や転倒などによって負傷しやすいことを示す一方で、他の通勤手段よりも健康面に恩恵があることも明らかにしました。
自転車通勤者は他の全ての通勤者よりも、心臓発作や脳卒中などの心血管疾患のリスクが低く、またがん診断の結果が良好でした。
データを使った見積もりでは、もし1,000人が10年間通勤手段を自転車に変更した場合、そのうちの26人が事故により入院し、またがんと診断される人が15人、心血管疾患にかかる人が4人、死亡する人が3人少なくなるという結果が示されました。
研究者は、自転車通勤のリスクは、健康上の利点とあわせて考慮されるべきであると結論づけています。
自転車通勤は負傷のリスクがあるものの、健康への利点も少なくありません。
しかしほとんどの人は自動車などとの接触に不安を抱いているため、自転車通勤を敬遠します。
研究著者の一人であるグラスゴー大学のポール・ウェルシュ(Paul Welsh)氏は、「車が優先されるという考えから離れる必要がある」と述べる一方、人々を自転車に乗せたいのなら、政府は、車とは分離した自転車専用レーンを作らなければならないと指摘しています。
研究結果はブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに掲載されました。
負傷の割合は自転車以外の通勤手段でもそれなりにあるんだな
道の整備とか車の多さを考えると、自転車通勤者を増やすのはなかなか難しいかもしれないね
References: CNN