CNNの編集ディレクターであるデイヴィッド・アラン氏は、27歳からランニングをはじめ、45歳で長距離マラソンに挑戦するまでになりました。
自分は走ることの専門家ではないと語るアラン氏は、ランニングには素晴らしい健康への恩恵があると指摘したうえで、普段運動をしていない多くの人のために、ランニングの持つ効果や生活への取り入れ方などについて経験を元に解説しています。
健康の改善やストレスの緩和など、走ることには多くの利点がある
アラン氏は、かつて狩猟をしていた人類が長距離を走るのは進化論的には当然の結果だとし、ランニングには心と体に良い影響を与える力があると話します。
走ることの利点は多くの専門家も指摘しています。
ランニングには心臓の健康を改善したり認知力の低下を抑えるだけでなく、良い睡眠をもたらす効果があります。
1976年に出版されたタデウス・コストルバラ博士の著書「The Joy of Running」は、走ることにはストレスを下げ、中毒症状を緩和する働きがあると報告しています。
この本の出版当時は、走ることが心身にどのような影響を及ぼすのかについて体系的な研究がなされていませんでした。
現在走ることは、うつ病の症状を緩和する心理療法と同じくらい、人間のストレスを軽減させリラックスさせることがわかっています。
コストルバラ博士は走ることの利点の一つとして「ランナーズハイ」を挙げ、脳内で放出されるエンドルフィンの効果によって、その人の新しい可能性が開かれることさえあると指摘しています。
ランニングには明らかに健康面での良い影響があります。
しかしアラン氏は、実際にランニングをするには、周到な準備が欠かせないと強調しています。
ランニングの成功には具体的な計画が不可欠
ランニングが体に良いからといって、いきなり長距離を走るのはおすすめできません。
アラン氏は、最初に目標を設定してから、その距離を一気に走るのではなく、何回かに分けて走ることを勧めています。
例としては、ハーフマラソンならば12週、フルマラソンならば18週にわけ、一週間のうちで自分が時間をとれる曜日をそこに配分していくという形です。
フルマラソンを42キロとすると、それを18週で割った場合、一週間に走る距離は2.33キロになります。
もし一週間に3日走る時間があるのならば、一日の目安は約800mということになります。
アラン氏は距離を実感するために、走る際の万歩計の利用を勧めています。
一人で走るのか、それとも誰かと走るのか――これも心身への影響を左右する要素の一つです。
いくつかの研究では、一人で走るよりもグループで走るほうが、不安や抑うつを軽減できることがわかっています。
しかし一人で走ることにメリットがないわけではありません。
アラン氏は、例えばラジオや音楽を聴きながら走ることで、きついノルマであっても達成しやすくなると指摘しています。
また走る際には「笑顔」を意識することで、体の動きが自然と効率的になるとも付け加えています。
ランナーの食べ物、服装、靴
ランナーは食べ物についても知っておく必要があります。
走る前と後では体に有益な食事が異なります。
パスタのような炭水化物の食品は、エネルギー消費の効率がよいため走る前の食事に適しています。
一方甘い物の代表格であるチョコレートなどの食品は、走った後の疲れた体の回復に効果があります。
アルコールについてアラン氏は、その魅力を認めながらも、体のためには控えるべきだと述べています。
正しい服装や靴を選ぶのもランニングを成功させるためには欠かせません。
アラン氏は特に長距離を走る場合には、乳首がシャツと擦れることで出血を起こす例を挙げ、これを防止するためにはニップレスを貼るなどの対策を取ったほうがいいと話しました。
また靴については、自分だけで選ぶのではなく、専門店で店員と相談しながら購入すべきだとしました。
人間の足は全て違い、また歩き方や走り方のくせなどもあるため、専門的なアドバイスを得られる店は、買った後のフォローも含めれば結果的に安上がりになります。
アラン氏は、少なくとも125ドル以上の靴を買うことを推奨しています。
アラン氏はランニングを成功させるための考え方として「歩かないこと」、「楽しむこと」、「ゴールすること」の3つを提案しています。
アラン氏は、「常に少しだけ進む」ことで必ずゴールはやってくると話し、初心者のランナーに、走ることそのものを楽しむよう促しています。
しっかり準備しておかないと続かないのがランニング……
ランニングも一歩一歩の積み重ねが大事なんだね~
Reference:The joy and practical wisdom of running