イギリス政府は、抗生物質に抵抗力をもつ細菌「スーバーバグ」を公衆衛生における脅威と位置付けています。
スーパーバグは近年いくつもの種が出現しており、今後も増え続けていくことが予想されています。
イギリスは先日、スーパーバグに対処するための行動計画を新たに作成しています。
2040年までに脅威を無くしたい考えですが、道のりは決して易しいものではありません。
スーパーバグは気候変動や戦争と同じくらい危険なもの
英国保健省のマット・ハンコック長官は、今年1月に開かれた世界経済フォーラムのなかでスーパーバグに触れ、脅威を取り除く必要性を強調しました。
長官は、「抗生物質の力が弱まってきていることに戦慄を覚える」と述べ、スーパーバグについて、「人類にとって大きな脅威であり、気候変動や戦争と同じくらい危険なものだ」と指摘しました。
スーバーバグは現代の医療の要である抗生物質に耐性をもっており、大きな脅威となりつつあります。
現在、感染症を引き起こす細菌の約70%が、すでに何らかの抗生物質に対する抵抗力を持っていると推定されています。
人類が病気の治療に抗生物質を使用しつづるける限り、スーパーバグの数はますます増えていくことが予想されます。
この動きを止めるためには、現在の抗生物質の流通を変え、新しい薬に置き換える必要があります。
イギリスの保健省は新しく発表した5か年計画のなかに、スーパーバグに対抗する新薬の開発を盛り込み、資金の援助を行う予定です。
しかし製薬会社は、スーパーバグ対策にそれほど乗り気ではありません。
新薬の開発にはお金がかかる
スーパーバグが蔓延する要因の一つに、現在の医療が抗生物質に依存し過ぎていることが挙げられます。
製薬会社は利益のために休むことなく薬を製造し、人々は長期間の通院で大量の薬を体内に取り込んでいます。
イギリス政府は最新のレポートで、医療品開発に対する投資が収益を生みにくい事実を指摘しています。
これは新薬の開発が、お金がかかる割に実入りが少なく、製薬会社にとって優先事項にはなりにくいことを意味しています。
現在の製薬会社は、スーパーバグに対処する必要性を認識しつつも、収益の上がる抗生物質を作り続ける傾向にあります。
こうした状況は、イギリス国内だけでなく、世界の福祉にとっても潜在的な脅威となります。
イギリスは2014年以降、抗生物質の使用量が約7%減少したにもかかわらず、薬剤耐性菌による感染症が35%増加しました。
また2018年には、抗生物質が全く効かない「スーパー淋病」が発生しています。
こうした例は、抗生物質の使用がいかに日常的であるかを示しています。
ハンコック長官は、抗生物質の使用率を今後5年間で15%削減する計画を明らかにしています。
また動物や家畜に対しての使用も制限するべきだと述べています。

新薬の開発にはお金と時間がかかるから製薬会社が乗り気じゃないのも当然かもしれないね

スーパーバグが蔓延してからじゃいろいろと遅いような気がする……
Reference: CNN