あなたの記憶は改ざんされている!もうすぐやってくるかもしれないブレインジャックの恐怖

雑ネタ

かつてSF映画で描写されていた表現のいくつかは時を経て実際に現実になってきました。

タイムマシンはまだ完成していませんが、空飛ぶ車や遺伝子操作された生物などのニュースは科学技術の発展に対する興奮とある種の不安を私たちに抱かせています。

技術の発達により人間は大きな利益を享受してきましたが、そこには別の側面もついて回ります。

 

最近の研究によると脳科学の発展によって急速に進歩しているニューロテクノロジーと呼ばれる分野において、将来人間の記憶が解読されたり操作されたりする可能性があります。

映画「マトリックス」のように、私たちがそれと気づかずに仮想世界に閉じ込められるようなことが実際に起きるのではないかと懸念を抱く研究者もいます。

 

そんなまさにSFのようなことが現実に起こるのでしょうか。

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脳インプラントとニューロテクノロジーの発展

 

 

ニューロテクノロジーがもたらした恩恵の一つに脳インプラントがあります。

これはパーキンソン病患者や四肢麻痺患者の脳にインプラントを埋め込む治療法でDBS(脳深部刺激療法)と呼ばれています。

DBSは世界の15万人以上の患者に対して使われていて、病気だけでなく糖尿病や肥満の抑制に対しても効果がある可能性が示されています。

 

DBSは患者の脳に電気的な信号を送ることで症状の改善を図ろうとするものですが、この技術を記憶障害の治療法として利用することが模索されています。

 

DARPA(アメリカ国防高等研究計画局)は外傷性脳損傷の影響を受けた兵士の記憶喪失を回復するために、無線で動作する埋め込み可能な神経インターフェイスを開発しています。

これらの技術の発達が続けば、別の場所で作られた記憶を人間の脳に戻すことが可能になることも十分考えられます。

 

オックスフォード大学の研究者であるLaurie Pycroft氏は次のように述べます。

 

今後10年以内に市販されているメモリインプラントがあったとしてもまったく驚かないでしょう。

 

あと数十年もすれば私たちは記憶を操作することができるようになるかもしれませんが、単純にそれを喜んでいいのでしょうか。

 

ブレインジャックとサイバーセキュリティ

 

 

Pycroft氏は間違った者にコントロールが渡ることで非常に重大な結果を及ぼしかねないと警告します。

 

例えばハッカーが患者の脳インプラントに侵入し設定を改ざんしたらどうでしょうか。

思考や行動に影響を与え、身体に一時的な麻痺を起こさせることもできます。

さらに脅迫に使用されることも考えられます――それはダークウェブを介し、従わなければ記憶が消されたり改ざんされることになるでしょう。

 

まさにSF映画にありそうな設定と展開ですが、これがただの絵空事ではないことを実験が証明しています。

 

2012年にオックスフォード大学とカリフォルニア大学バークレイ校の研究者たちが行った実験では、一般的なゲーミングヘッドセットを装着している人の脳波を観察するだけで、銀行のカード番号や暗証番号などの情報を特定できたという結果が出ています。

 


 

サイバーセキュリティ会社カスペルスキーの研究者であるDmitry Galov氏は、こうしたブレインジャックと呼ばれる悪意のある侵入がセキュリティに対して様々な脆弱性をもたらす恐れがあると述べます。

 

Galov氏とオックスフォード大学の研究者たちは「サイバー攻撃があなたの過去を狙う未来への準備」と題したレポートを発表し、今日でさえ私たちが思っている以上に技術が進歩していることを指摘し、患者の安全性が脅かされている現実を報告しました。

そして将来もっと技術が発達し権威主義的な政府が人々の記憶に干渉し歴史を変えることさえ不可能ではないと警告しています。

 

Galov氏は、ブレインジャックを可能にするような技術が既に存在していることを認めなければ人々の行動を変えることはできないと語っています。

 

政府が記憶に干渉するなどといったことはフィクションの中だけにしてほしいものですが、そこまでいかなくとも、ネットに接続された医療機器が既に存在していることを考えるとサイバー攻撃に対してのアンテナをもっと広げる必要はありそうです。

 


 

2017年にアメリカ当局は465000人のペースメーカーにサイバー攻撃に対して脆弱性が認められたとしてリコールの決定を出しています。

 

またFDA(アメリカ食品医薬品局)は次のように声明を出しました。

 

医療機器がインターネット、病院ネットワークや他の医療機器、およびスマートフォンを介して相互接続されるようになるにつれサイバーセキュリティの脆弱性が高まります。それらは医療機器の動作に影響を与える可能性があります。

 

そして悪意のある者がデバイスを改ざんしてペースメーカーの速度を変えたり電池を消耗させたりする可能性があると忠告しました。

 

カスペルスキーは今後医療分野においてより多くの機器がネットに接続されると見込んでいて、臨床医とその患者はサイバーセキュリティについて教育を受ける必要が出てくるだろうと考えています。

 

 

 


 

インターネットやスマートフォンなどの普及は生活を便利にしましたが、一方で私たちが気づいていないところでそれらは必要以上にネットとつながっています。

ネットにつながっている以上悪意のある誰かの攻撃を受ける可能性があります。

 

政府が記憶を操作するようなディストピアが来るのかはわかりませんが、セキュリティに関する最低限の知識だけは身につけておいたほうがいいのかもしれません。

 

 

References:BBC