筋肉増強剤として人気の「アナボリックステロイド」 使用をやめても残り続ける体への悪影響

雑ネタ
(Ivan Samkov/Pexels)

肉体改造に熱心な男性を対象にした研究によると、恒常的なステロイドの使用は、長期間にわたって健康を損なわせる可能性があります。

スポーツ選手やボディビルダーのほか、トレーニングを趣味としている人たちの間で人気なのが、「アナボリックステロイド」です。

これは人工的に作られたステロイドホルモン(テストステロン)の一種で、記録更新のためのドーピングや、見栄えを良くするための筋肉増強剤として広く使われています。

筋肉の成長を劇的に促すステロイドは、トレーニングの効果を手っ取り早く体感したい人にとっては魅力的です。

しかし短期間の使用であっても、ステロイドが体に及ぼす影響は甚大です。

 

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使用をやめても安心できないアナボリックステロイド

 

コペンハーゲン大学の科学者を中心とした研究チームは、アナボリックステロイドの使用が人体に与える影響について知るため、アスリートではない一般の男性を対象に調査を行いました。

対象となったのは、日常的に筋力トレーニングを行っている18歳から50歳までの男性132人です。

彼らはアナボリックステロイドの使用頻度別に3つのグループに分けられました。

一つ目のグループは現在もステロイドを使用しており、二つ目のグループは、現在は使用していないものの、約2年半前までは使用していました。

最後のグループは、これまで一度もステロイドを使用したことがありません。

 

アナボリックステロイドの副作用は非常に多く、血圧やコレステロール値の上昇のほか、心臓発作、脳卒中、肝臓の障害など、命の危険につながりかねない症状を引き起こす場合もあります。

今回の調査では、精巣にあるライディッヒ細胞に焦点をあて、男性ホルモンであるテストステロンの分泌能力を評価しました。

 

分析の結果、アナボリックステロイドを現在も使用しているグループは、テストステロンのレベルを示す値が著しく低下していることがわかりました。

一方、一度も使用したことのないグループのテストステロンレベルは、正常の範囲内でした。

問題は、以前に使用していたグループです。

このグループは、アナボリックステロイドの使用をやめてから、平均で32カ月が経過しています。

しかし彼らのテストステロンの値は、一度も使用していない人のレベルには回復していませんでした。

これらの結果は、アナボリックステロイドの使用が、長期間にわたって精巣機能を狂わせていることを示唆しています。

The Journal of Clinical Endocrinology&Metabolismに掲載された研究の著者の一人である、コペンハーゲン大学のジョン・ラスムッセン博士は、「重要なポイントは、以前にアナボリックステロイドを使用していた人が、中止後であっても性腺機能障害を示していることです」と述べ、ドーピングを考えている人に対し、「それを使用しないで下さい。アナボリックステロイドは、体内のいくつかの臓器に悪影響を与える可能性があり、致命的になることさえあります」と警告しています。

 

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薬物を使った肉体改造は一部のアスリートだけが行うものと認識されがちですが、実際のところ、アナボリックステロイドの使用者のほとんどは、体を鍛えたい、あるいは良く見せたいと願うごく一般の人たちです。

アナボリックステロイドの扱いに関しては国や地域で異なるものの、通販であれば、日本でも比較的簡単に入手することができます。

しかしアナボリックステロイドは、精巣機能の低下だけでなく、様々な病気や障害、さらには不安やうつといった精神面での症状も引き起こすおそれがあります。

ハーバード大学医学大学院の医学教授であるシャレンダー・バシン博士は、「どういうわけか、“これらの薬は安全で、副作用は管理できる”という見当違いの認識があります。しかし研究結果は、アナボリックステロイドが心血管疾患、さらには初期の認知機能障害に関連していることを示しています」と述べています。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

日本では規制の動きが始まってるみたいだけど、外国は男女問わず使用者が多いみたいだね

せつな
せつな

薬を使った肉体強化はゲームの中だけでいいかも……

 

Reference: CNN