二足歩行をする人間にとって腰はまさに要(かなめ)です。
腰を痛めたことのある人はその激しい苦痛となかなか治らないもどかしさに参ってしまうことがあります。
医学が発達したとはいえ腰痛の原因についてはいろいろな説がありこれといった治療法がないのが現実です。
そんな腰痛持ちにとって希望のない世界を自らのアイデアで破壊しようと試みた男性がいました。
誰も考えなかった独創的な特効薬
アイルランドの33歳の男性は、3日前に重い物を持ち上げたときに背中を痛め、その治療のために病院を訪れていました。
彼は自分が長年の腰痛持ちであることを告げましたが、医師は背中や腰とは関係のない彼の右腕が赤く腫れていることに強い違和感を覚えました。
右腕について多くを語ろうとしない患者に対し粘り強い説得を続けた結果、男性は衝撃的な告白をします。
彼は腰痛治療のためのまったく新しい方法を考案し実行していました――それは静脈に自分の”精液“を皮下注射することでした。
男性は自分の静脈と筋肉に精液を”投与”していました。
医師の検査によると精液は右腕の軟部組織に溜まっており、蜂巣炎(ほうそうえん)とよばれる細菌感染症にかかっていました。
男性は慢性的な腰痛持ちで、痛みを治療するための革新的な方法として自分の精液を注射することを考案したといいます。
彼はオンラインで皮下注射用の針を購入した後18か月にわたって自己流の治療を続けていました。
医師は、このような治療方法は聞いたことがなく彼は完全に独自でこの治療法を考案したと語っています。
その後男性は、精液には腰痛を治す効果がないことを教えられ、膨れ上がった右腕と背中の痛みを治療して退院していきました。
医師や研究者たちは、腰痛を治療するための方法として精液を使用することが書かれている文献や研究はこれまで1つもなかったと報告しています。
インターネット上には水銀やガソリン、木炭や塩酸など有害物質を静脈注射した例がありますが、それらは何かの治療のためではなく”全てを終わらせるための方法”でした。
医学的にみて精液に腰痛を改善する効果は期待できません。
今回の事例を報告した研究者は、もしあなたが精液を注射しようとしているのならばそれを行わないこと、そしていかなる方法であっても訓練を受けていない者が静脈内に注射をするのは避けるべきであることを強調しました。
そして安全性と有効性が広範囲にわたる臨床実験で実証されるまでは、いかなるオリジナルな治療方法も行うべきではないと付け加えています。
……世界には独創的な人がいるものですね。
報告はここで終わっていますが、この男性がどういう思考を経て自分の精液を注射しようと思ったのか、研究者はその部分についても調査したほうがいいような気がします。
ほっとくとまた新しい治療法を試すかもしれませんから……。
Source:imj.ie