人間の宇宙への探求心は途切れることがありませんが、地球を離れて未知の領域に向かうためには誰かがその任務に従事する必要があります。
AIやロボットは人間ほど繊細ではないため、近い将来宇宙飛行士が月以外の星に向かうのはもはや時間の問題です。
しかしいざ宇宙に飛び出したものの宇宙飛行士の身体に想定外の問題が発生しないとも限りません。
現在NASAを始めとした各国の宇宙機関がボランティアを募っています。
それは人体が宇宙空間でどのような影響を受けるのかを調べるものです。
全てを投げうってひたすら寝たい!常日頃そんなことを考えている人にはうってつけの仕事かもしれません。
6度の傾斜をもつベッドで過ごす宇宙空間のシミュレーション
NASA(アメリカ航空宇宙局)とDLR(ドイツ航空宇宙センター)、そしてESA(欧州宇宙機関)の各宇宙機関は共同で、微小重力の影響から人体を保護するための研究に参加できるボランティアを募集すると発表しました。
研究は「人工重力式ベッドレスト」とよばれるもので、参加者は89日の間ベッドに横たわったままでいなければなりません。
ベッドは頭が身体よりも下になるよう6度傾斜していて、研究期間中は全ての活動を横になったまま行います。
また参加者は毎日30分間、人工的に重力を発生させるための遠心分離機を使って体液が循環する様子を記録させられます。
研究スケジュールは最初の15日間は機器に慣れるために費やされ、その後の60日間が実際の研究期間、最後の14日間は日常生活に戻るための期間となっています。
応募条件は24歳から55歳までの健康な女性で、非喫煙者であることとドイツ語が話せることが求められます。
そして気になる報酬は16,500ユーロ(2019年4月のレートで約200万円強)となっています。
ベッドレスト研究は過去にも行われています。
これは宇宙空間にいる人間がどんなストレスを抱えるのかについてシミュレーションするためのものです。
宇宙飛行士には身体だけでなく精神的な部分においても強靭であることが求められていますが、人間はロボットではないためどうしても予期せぬ事態が起こる可能性があります。
DLRの科学者は、宇宙飛行士が無重力状態の中にいると筋肉や骨が減少し体液が頭のほうに移動すると説明します。
そして今後も宇宙飛行士が重要であり続けるかぎり彼らの飛行を安全なものにしなければならないと語りました。
実験の最中は、食事やシャワー、浴室への移動なども全て横になったまま行います。
また食事に関しては参加者が体重を増やさないよう適切なメニューが栄養士によって提供されます。
メニューには参加者を健康的にしすぎないためにパンケーキやお菓子が出てくることもあるそうです。
3か月間も横になり、ときたま身体をぐるぐると揺さぶられる生活……正直ちょっと考えてしまいますね。
それでも寝て過ごしたい!というドイツ語に堪能な女性の方は一度DLRに連絡をとってみてはいかがでしょうか。
References:CNN